-ま-

【マーケット・ガーデンさくせん】[マーケット・ガーデン作戦]
 1944年9月17日から開始された、マーケット作戦、ガーデン作戦という連合軍の2つの作戦。オランダに空挺部隊を降下させてアイントホーフェン、ナイメーヘン、アーネムの5つの橋梁を確保し(マーケット作戦)、そこへ機甲部隊を一気に進撃させ、ライン川を越えてドイツの工業中枢、ルール地方を目指す作戦(ガーデン作戦)をバーナード・ロウ・モントゴメリ将軍が立案した。ドイツ軍の防衛ラインから、アーネムまでのおよそ100kmの道程を、僅か2日で突破するつもりであった。マーケット作戦は、史上最大規模の空挺作戦であり、これを上回る空挺作戦は今日まで行われていない。
 9月17日に、米第101空挺師団がアイントホーフェン、米第82空挺師団がナイメーヘン、英第1空挺師団がアーネムに降下。ナイメーヘンの橋梁確保に成功するが、アイントホーフェンではドイツ軍に橋梁を破壊されてしまう。英第1空挺師団はアーネムの橋梁確保に成功するが、アーネムの対岸、ドリールに降下するはずだったポーランド第1空挺旅団は天候の悪化で9月21日まで出発が遅れる…って予定通りなら作戦はとっくに終わっているはずである。アーネムに駐留していたドイツ軍は、事前の情報では敗残兵と少年兵の寄せ集めとのことだったが、実はこのとき、アーネム郊外にはフランスから撤退してきたドイツSS(武装親衛隊)第9装甲師団ホーフェンシュタウフェンと、SS第10装甲師団フルンツベルクが再編のため居座り、さらに付近を撤退中の他の部隊を併せると、実に2万を越える大兵力がアーネム周辺にいた。直前の航空偵察やレジスタンスからの報告で戦車部隊の存在はわかっていたのだが、この情報は稀代の楽天家モントゴメリによって握りつぶされ、英第1空挺師団やポーランド第1空挺旅団には伝えられていなかったし、作戦にいささかの変更もなかった。英第1空挺師団とポーランド第1空挺旅団は、SS装甲師団2個師団に完全に包囲された。
 一方、連合軍機甲部隊は破壊された橋梁を野戦橋で復旧し、進撃するが、馬車を通すために作られたチューリップ畑のあぜ道のような道路に大部隊を投入したため、戦車とトラックの行列が一列縦隊で延々と続く大渋滞。ここにフリーウェイでも通っていると思ったのだろうか。最も消耗の激しい先頭の部隊は交代も補給もままならないままところてんのように押し出され、ドイツ軍に各個撃破され続け、遂にナイメーヘンでくい止められる。しかも連合軍は道路という線を抑えただけなので、後方では両側面から袋たたきにされる有様。天候の悪化により満足な航空支援も得られず、予定を6日も過ぎた9月25日に作戦中止を決定し、空挺部隊の救出が開始される。アーネム周辺に降下した10005名の空挺部隊のうち、危険を犯して彼らを迎えに赴いた160名のポーランド兵、73名の英連邦兵とともに帰還した将兵、わずか2163名。戦死者は1200名。行方不明者、残置された負傷者、捕虜となった将兵の合計は6642名という惨憺たる結果に終わった。最奥部のアーネム橋からSSの包囲を突破し、脱出できた将兵は600名のうち、わずか78名と言われる。

【マイクロソフト・フライトシミュレータ】[Microsoft's Flight Simulator]
 
フライトシミュレータといえばマイクロソフト・フライトシミュレータというくらいの定番中の定番。機体の挙動などもほぼ良好に再現されていると言われている。また『アドオン』と呼ばれるオプションで、機体や『シーナリー』と呼ばれる風景を追加できる。対応するアドオンデータは市販の他に、ファンが自作したファイルがインターネットでも配布されている。今日、多くのフライトシミュレータが発売されているが、マイクロソフト・フライトシミュレータがユーザーから圧倒的な支持を受けている理由は、アドオンを自作、あるいは読み込んで、カスタマイズできるツールが配布されている点にあると言っていいだろう。
 以前はMacintosh対応などもあったが、現在はWindows対応のものしかない。御陰で編者はフライトシミュレータ専用に不細工な『どすぶいパソコン』なんぞを導入しなければならなくなってしまった。…ったく。
 と、それはさておき、パッケージに明示された動作環境は最低限度と考えるべきで、ストレスなくリアルなグラフィックで楽しむには『金に糸目は付けない』ぐらいの覚悟が必要。特にCPUとグラフィックカードは最高のものを奢りたい。メモリはパッケージに明示された最低量の2倍は欲しい。モニタは17インチ以上ないと前が見えなくなってしまう。操縦桿とスロットルレバーとフットペダルも…とまあ、果てしない金食い虫だ。秋葉原あたりにはフライトシミュレータ専門店なるものまであり、こうした店ではフライトシミュレータに適したスペックのDOS/Vパソコンも販売されているので、買い換えの選択肢として考えてもいいだろう。
 上を見るときりがない世界で、アメリカでは病高じて古い実機をフライトシミュレータの操縦席に改造してしまったファンもいるそうだ。本書の読者でそこまでする人はいないだろうが、まあ、程々に…。
 名前にMicrosoftの名が付いているが、元は1980年にBruce Artwickによって製作され、subLOGIC社が発売したApple II(2)のフライトシミュレータが原点。Bruce Artwickのイリノイ大での卒論テーマが『フライトシミュレータのための3Dグラフィックス』というからこれはもう筋金入りだ。フライトシミュレータVer.1では、のちにCommodore 64対応版とAtari 800対応版が追加されている。このVer.1ではまだ滑走路も計器もワイヤーフレームで描かれていた。1981年にIBM PC/ATに対応したVer.1.05が発売され、Ver.2でワイヤーフレーム内にペイントが施されるようになる。1984年にBruce ArtwickはMicrosoft社の肝煎りでBAO(Bruce Artwick Organization,ltd)を設立。Ver.3〜5まではBAOで製作されている。Ver.3以降でポリゴン描画となり、この頃登場したMacintoshにも対応版を送り出している。1995年にはMicrosoft社がBAOを買収して名実ともにMicrosoft's Flight Simulatorとなり、その後数度のバージョンアップと、Windows対応版以外を切り捨てるゲイツ君らしい暴挙を経て現在に至っている。さて、以下はMicrosoft社が掲げているビジョンである。「Empower people through great software any time any where,and on any device」(優れたソフトウェアで、人が持つ可能性を広げよう。いつでも、どこでも、どんな機器でも)→MSFS

【マイティ・マウス】[Mighty Mouse] ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 ノースアメリカンF-86Dセイバードッグなどに装備されていた2.75インチ24連装空対空ロケット弾。通常は機内に収まっているが、標的をロックオンして発射トリガーを引くと、胴体下にランチャーが出てきて、専用照準機が標的の未来位置へ機首方向を指示し、その指示に従って標的の未来位置と機首方向を一致させると自動的に24発のロケット弾を一斉に発射!ロケット弾で弾幕を張って目標を撃破するという、なんとも大仰なような大雑把なような代物。古い怪獣映画でも定番の武器だが、怪獣はロックオンできるのかな?
 目標の数が多いからとりあえず半分だけ発射…などということはできない。24発一斉に撃つしかない豪快な代物。撃った後は機銃一つないただの飛行機になってしまうので、アフターバーナを焚いてすたこら一目散に逃げるしかない。当時の12.7mm機銃でちまちま撃っているより効率よかろうってんで装備したらしいが…。
 趣味的にはなかなかおもしろい代物なので、コンバット・フライトシミュレータにでも登場しないかねぇ…。

【マイラー】《F》
 マイルを貯めてる人。必死に貯めてる人。オーバーブッキングで後の便に回されても、マイルをおまけで10,000マイルばかり付けてやれば大喜びである。本人はマイラーを自称するが、マイルを貯めるためにあらゆる手段を駆使するため、その行為がとても奇異に映り、周りからは修行僧とか呼ばれていたりするのである。→修行僧

【マザー】[MUTHA]
 米海軍戦闘飛行隊の中で、前年最優秀とされた飛行隊に授与されるトロフィー。戦技のみならず、あらゆる点で優秀であると認められることがマザー・ホルダーの条件である。最高の戦闘機乗りの魂とされ、授賞飛行隊がそれに相応しくないと思うなら奪取するのもアリ、という裏ルールがアメリカ人らしい。当然、奪取されるのは最大の恥とされ、マザー・ホルダーとなった飛行隊は奪取されないようトロフィーをケースに入れ、専門の警護担当者が手錠に繋いで(アタッシュケースを手錠で繋いだスパイ映画のクーリエみたいな感じだ)常時携行しているとか。それで仕事になるのか、ってツッコミはなしだ。で、実はそのトロフィーってのは、ある日本人が米海軍に贈った信楽焼の母子狸の置物なのである。アメリカ人のやることはよくわからん。信楽焼の狸を贈った日本人ってのもよくわからんお人だが…。

【マスタング】
 →ムスタング

【まつ】[松]
 関西では「浜村の解説を聞けば、映画館に足を運ぶ必要はない」とまで言われる映画解説で知られるタレント「こんばんわ、浜村淳でございますぅ」(文字でものまねやっても…)の浜村淳氏の造語、スーパーシートのことである。

【まの11ぷん】[魔の11分]
 
離陸滑走開始からの3分間と、着陸して機体を停止させるまでの8分間を合わせた11分間。統計上航空機事故がもっとも起こりやすいとされる時間帯。クリティカル・イレブン・ミニッツなどと呼ばれる。離着陸時に事故率が高いのは、1.低空では地形や、場合によっては他の航空機によって乱された気流により、機体の姿勢が乱されやすい。2.高度がなく、乱気流などで機体の姿勢に乱れが生じると回復する暇がなく、また、低速では舵がききにくい。3.空港には航空機が集まり、お互いの距離が極めて近くなる。4.雨・雪・霧などで視界が悪くなる。5.低空では鳥やら模型飛行機やら、航空機以外のものもいろいろ飛んでいる…等々、挙げればきりがない。
 離陸時が3分と短いのは、機体を一気に加速させて一気に高度を稼ぎ、危険とされる低空を離脱するからで、着陸時が8分と長いのは、機体を緩やかな角度で進入させ、離陸する速度よりもさらに減速して着陸しなければならず、結果として、低空に長くとどまらなければならないため。

【マリーン・ワン】
アメリカ合衆国大統領が搭乗している海兵隊所属ヘリコプターのコールサイン。大統領搭乗中のみ使用されるコールサインである。使用機にはホワイトハウスやキャンプデービットからのニュースでおなじみの、ダークグリーンと白のヘリコプターVH-3Dや、外遊先などで使われるVH-60Nがある。海兵隊所属機なので『マリーン・ワン』であって『エアフォース・ワン』ではない。そこのワシントン支局特派員、間違わないようにね。

【マリンマーカ】
 漂流時に、捜索機から発見されやすいよう海水を着色する蛍光染料。色は似ているがバスクリンで代用してはいけない。

【マルダイぶひん】[マルダイ部品]
 旧帝国海軍の外道兵器、対艦有人誘導弾、空技廠桜花11型の開発秘匿名。固体式ロケット機による特攻兵器を思いついた405航空隊偵察員、太田特務少尉の名を取ってマルダイとしたのだそうだが、一介の特務少尉の発案が採用されるほど旧帝国海軍ってのは柔軟な組織だったのかねぇ?ま、どなた様の発案にせよこんなものは、思いついたやつの頭の中だけに秘匿しておけ。
余談だが、人間魚雷回天の開発秘匿名は『〇六(マルロク)金物一型』だそうである。よりによって金物かい!

【マルチロール・ファイター】
 強引に日本語に訳すと多目的戦闘機。空対空戦闘だけでなく、攻撃機や爆撃機、偵察機などにも使える戦闘機のこと。冷戦が終わって超大国同士の直接対決が起こる可能性が少なくなり、空対空戦闘専門の戦闘機なんてものは殆ど要らなくなってしまったので、今ある戦闘機は爆撃や偵察もできるように改造を施し、これから作る戦闘機は爆撃や偵察もできるように作ろうと、ごく簡単に言ってしまうとそういうこと。不採算事業から配置転換されるサラリーマンみたいだよな。搭載機数に限りのある空母艦載機では、今や情け容赦ないリストラの嵐が吹き荒れていて、名機トムキャットといえども今やTARPS積んで偵察やったり、ボムキャット改造されて爆撃任務に就いたり、スーパーホーネットに取って代わられたりと今や風前の灯火である。取って代わるスーパーホーネットだって、空中給油機の代わりまでやれと言われてるんだから、首切りからは逃れたけれど、休みが取れなくなったサラリーマンみたいだ。

【まるてん】《S》
 ○の中に転と書いて、まるてん。自衛隊の用語。保有すべき期限を迎え、代替となる補充品が入ってきたためにお余りとなった古い物資を別の用途に回したりすること。転用なので○転である。員数外なので識別用に○の中に転と書き込んだのが語源。会計検査のときは隠さなきゃいけないらしい。衣類などの布製品が多い。大概はよれよれのボロボロになってしまって、本来の役割には耐えられない状態になっているので、古い天幕(テント)や毛布を分解整備のときの敷物や資材の雨避けにしたり、古い作業服を汚れ仕事や新隊員の匍匐前進訓練専用にしたりとか、まあ、あんまり大したことには使ってないけれども、そうした物資を如何に活用するかという隊員の創意工夫は、大いに奨励されている。日本の防衛費は金額だけでみると世界でもトップクラスだが、それを帳消しにできるほど日本の物価は高いので、やりくりはとても大変、ものは大事に使わなきゃ、なのである。お父さんの給料は先進国の平均と大差ないのに、なぜ我が家の家計は…ってのと一緒だ。

【マルヨン】《F》
 ロッキードF-104スターファイター戦闘機のこと。『最後の有人戦闘機』の異名を持つ。→最後の有人戦闘機
-み-

【ミートボール】
(1)挽肉を丸めて団子状にした食材。お弁当のおかずの定番である。
(2)《S》FLOLS(フレネルレンズ光学着艦システム)空母の着艦誘導信号灯のこと。
(3)《S》日本機の国籍マーク。要するに日の丸のこと。転じて日本機のこと。
(4)《S》英国機の国籍マーク、いわゆるラウンデルのうち、中心を赤で塗ったもの。第二次大戦中アジア方面に配備された機体には日本機との誤認を避けるために、中心を水色で塗ったものや中心の塗りを省略したものがあり、これらに対してオリジナルである中心が赤のもの、または中心の赤の部分を指して言う。

【みかたしきべつしょう】[味方識別章]
 昭和20年3月以降、陸海軍の航空機搭乗員が飛行服の右肩に付けていた長辺10〜15cmの日の丸のパッチ。本土上空で敵機に撃墜されて落下傘で脱出した搭乗員が「日本兵は機体を捨てて落下傘で脱出なんかしない!」と信じ込んでいた住民によって殺されたという、何というか、やりきれない事件をきっかけに付けられることになった。「生きて虜囚の辱めを受けず」って戦陣訓が、それを流布した軍上層部ですらどうにもならないところへ一人歩きしてしまっていたわけで、ま、なんて言うか、旧軍上層部ってのはつくづく阿呆の集団だったのだね。

【みこししゃげき】[見越し射撃]
 夜店のコルク銃で御神輿を撃つ御輿射撃…ってそんな罰当たりな射撃ではない。移動している標的が、発砲から弾着までの間に移動する距離と方向を予測し、標的の未来位置に向かって射撃する射撃方法。もっと大雑把に言うと、移動している標的そのものを狙うと、弾着したときには標的はずっと先に行ってしまっているので、標的に当てるには「あしたのために、その一、標的より前方を狙い、撃つべし、撃つべし、撃つべし…」ってこと。最近の対空砲は賢いから、照準レーダーで追尾したデータを元にコンピュータが未来位置を予測して照準を合わせてくれる。標的の現在位置と弾着時に予想される標的の位置との差をリードという単位で表すが、照準器や照門の一目盛りをリード1とする場合と、標的の見た目の大きさをリード1とする場合とがある。標的が視界を横切ってゆくような動きだったり、標的までの距離が遠かったり、標的の速度が速ければリード量は多く取る必要がある。逆に、標的がこちらに向かってくるとか、遠ざかってゆくような動きの場合のリード量は少なくなるか、全く取らなくてもいい場合もある。まあもっとも、敵機がこちらに向かってきていて、リードを取る必要がない場合ってのは、敵機の標的に君が選ばれたってことだ。逃げた方がいいぞ。

【ミサイル】[Missile]
 日本語では誘導弾と呼んでいる。ミサイルの意味は『投げるもの』『飛ばすもの』『飛び道具』などをいうのだが、現在では主に誘導装置を搭載したロケット弾のことを言う。欧米で刊行されている軍事関係の専門書では誘導装置を搭載した爆弾もミサイルとして分類されている。英語のミサイル(飛び道具)より、日本語の誘導弾のほうがより実態をよく表していると言えるだろう。外部からの誘導制御ではなく自分で目標を捉えて飛んで行くタイプのミサイルは誘導弾か?と言われるとこれまた疑問だが…。誘導弾という意味でのミサイルの嚆矢はドイツが第二次大戦中に開発した空対地・艦誘導ロケット弾ヘンシェルHs293で、発射母機からの無線操縦で目標に向かうものだった。要するにラジコンである。とはいえ空対艦有人誘導弾『桜花』なんぞを飛ばしていたどこかの国とはえらい差だ。
 余談だが、ミサイルはラテン語の「mittere(ミテレ=送る、放つ、解散する)」が語源と言われる。『mittere』はキリスト教の司教が礼拝の終わりに告げる言葉「Ite, missa est.(イテ・ミサ・エスト=行け、解散する)」に由来すると言われている。この言葉は中世以降「赴いて神の言葉を伝えよ」という意味に拡大解釈されるようになり、ヨーロッパの聖職者たちはこぞって世界各地へ布教に行くようになる。日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルもそんな一人だ。この伝道の使命が『mission(ミッション)』で、これも『mittere』を語源とする言葉とされる。キリスト教系の学校を指す『ミッションスクール』の本来の意味は伝道学校ということになる。他に『mittere』を語源とする言葉には『message(メッセージ)』などがある。人々を導く神の教えと、恐怖によって人々を支配する兵器の語源が同じなのは興味深い。

【ミスティック・イーグル】[Mystic Eagle]
 1990年の戦競から登場した204飛行隊(茨城県、百里基地)F-15の戦競特別塗装。ノーズアートには戦いに倒れた兵士を楯に乗せヴァルハラ(天国)へ導くという、北欧伝説の女神ワルキューレと、鷲と獅子が合体した伝説の獣、グリフォンをハンドピースで描いた、204飛行隊整備員の渡辺悟志二等空曹のオリジナルである。頭身を縮めたSD版や、渡辺二曹の知故で有名漫画家が参加したものなど、12年間にわたり、多くの話題を提供してきた戦競塗装の代表格である。

【みなしけいさん】[みなし計算]
 オープンジョー形態の旅行では、航空機を利用しない区間は基本的に同一国内であることが条件で、2国以上にまたがる場合、往復それぞれに片道航空券が必要となってしまい、運賃は非常に高額となってしまう。そこで、航空機を利用しない区間でも航空機を利用することにして(みなして)往復航空券の条件にしてしまい、運賃を計算する。言ってみれば裏技。見かけ上はオープンジョーだが、実態はストップオーバーを利用した往復航空券の変形と考えてよい。航空機を使用しない区間にも運賃がかかるが、片道航空券2枚よりはるかに安くつくので多く用いられる。例として、東京からロンドンへ行き、英仏海峡トンネルを通ってパリから東京へ戻る場合などはパッケージツアーでもよく見かけるが、搭乗しないロンドン・パリ間の航空運賃も費用の中に含まれていると考えてよいことになる。実際のところ、日本からはロンドンもパリも運賃は同額なのでユーザーは全く損はしていないのだが…。
 なお、この方法はあくまでも旅行代理店が航空券を発券する際に使う運賃計算上のノウハウなので、生半可な知識でユーザーが勝手に航空会社に予約を入れてPEX航空券などを購入してしまうと、場合によっては搭乗しなかった区間以降の予約が取り消され、航空券は無効となり、日本に帰れないという事態もあり得る。みなし計算を行っている航空券は『実際には乗らない区間がある』旨、既に航空会社との間で話のついている航空券なので、勝手に予約を入れたりせず、旅行代理店で出発から帰着までの希望する旅程を示して、航空券を組んでもらうことを推奨する。

【みなみまわり】[南回り]
 ポーラールート(北極回り、またはアンカレジ経由)とは逆に、東南アジア・インド・中東を経由したヨーロッパへの飛行ルート。時間が掛かりすぎるので日本の航空会社は既にこのルートは使っていないが、東南アジア・南アジア・中東の航空会社を利用すると、懐かしの南回りに近い気分が味わえる。時差ボケとも無縁なので、お時間のある方はどうぞ。

【ミニジャンボ】
 全日空で運航されていたボーイング737の愛称。

【ミラージュ】
 フランス、ダッソー社の超音速ジェット戦闘機…爆撃機もある。フランスがはじめて作った真っ当な戦闘機と言う人もいる。…あんまりだ。フランスの戦闘機と言えばミラージュって、代名詞というか何とかの一つ覚えというか…。40年以上にわたって末尾の番号だけ変えて、似たような形で実は全く別物の機体を次々と作りまくっちゃったから、そっくりさんのオンパレードでとにかくややこしいことこの上ない。その名の通りミラージュ(幻影、蜃気楼)である。マニアの前で迂闊にミラージュの名前を出そうものなら、ミラージュの何型なのかと小一時間問いつめられ、ひとつひとつの違いを延々と聞かされ、挙げ句に「お前はミラージュって言いたかっただけちゃうんか!」とか「ま、お前らド素人はイーグルでも眺めて喜んでなさい。ってこった」などと言われる虞があるので注意が必要である。

【ミルスペック】[MIL spec]
 米軍の兵器や軍需物資に求められている規格。核弾頭から飲料水に至るまで、米軍に納入されるものはすべてこのミルスペックに定める細かな規定に従い、厳格な審査をクリアしていないといけない。深夜の通販番組でハイテンションな司会者が「米軍も認める耐久性能!アウトドアに最適っ!」とか言ってるやつだ。ISO(国際標準規格)の元になったものも多い。もっとも最近は民需向けのほうが、はるかに高い性能と高い耐久性を求められることも多く、ミルスペックの方が要求が低いってこともあるけどね。

【みんせいきょうりょく】[民生協力]
 国民に自衛隊への理解を深めてもらうという目的で、自衛隊の組織や資機材を活用し、民間の活動に協力すること。オリンピックの開会式にブルーインパルスが会場上空を飛ぶのも、陸上自衛隊が札幌雪祭りの雪像を作るのも、箱根駅伝で自衛隊のジープが伴走するのも、オホーツク海の流氷観測も、観光資源のない街に20万人ものお客を集める航空祭も、みんな民生協力である。
-む-

【むし】[虫]《F》
 ビジネス機などの小型機を指す航空ファンのスラング。ったく、失礼な…。

【むじるしりょうひん】[無印良品]《F》
 日本航空の現行塗装機、いわゆるJAノL塗装のことを言う。但しムジラーとしてひと言言わせて頂くなら、塗装の赤はもう少し暗い臙脂で、客室乗務員は黒または白のカジュアルなパンツルックにウエストバックを巻き、名札はネックストラップでぶら下げていないと、MUJIとは言えないだろ。やっぱ。座席は『からだにフィットするソファ』機内で出る茶菓子は『輪切りバウム』で決まりだ。

【ムスタング】
 ノースアメリカンP-51ムスタング。それまでAT-6テキサン練習機とかB-25ミッチェル爆撃機などイマイチ地味な飛行機を作っていたノースアメリカン社がはじめて作った戦闘機。第二次大戦勃発で戦闘機を求めていた英国が、暇をもてあましていたノースアメリカンにカーチスP-40ウォーホークのライセンス生産を依頼したところ、ムッとしたノースアメリカンは120日でP-40を上回る戦闘機を作りましょうと大風呂敷を持ちかけ、ホントに作ってしまった。P-40を参考にしただけあって試作機はP-40そっくりだったが、NACA(後のNASA)が開発した層流翼の採用などによって空力的に大幅に洗練されていた。残念だったのはアリソンV1710エンジンの性能が満足のいくものでなく、特に高々度性能は全然ダメだったこと。P-40のエンジンだからしょうがない。それでも一機でも多くの戦闘機が欲しい英国はありがたく、かどうかは知らないが持って帰って対地攻撃機として使っていた。そんなある日、この飛行機にスピットファイアで使っているロールス・ロイス・マーリンエンジンを付けたら高々度性能も改善するだろうなと思った人がいた。ロールス・ロイスのテストパイロット、ロニー・ハーカーである。で、試しにマーリン61を付けてみた。思った通りすごい戦闘機ができちゃった。大変だ!これはアメリカに教えなきゃ、マーリンを売り込まなきゃ、商売商売っ、ってさすが資本主義発祥の地…。
 そのころ、アメリカはと言うとP-40が日本の零戦に袋叩きにされていた。何とかしなきゃ。そういえばドイツのBf109に遠く及ばないからってお蔵入りにしていたノースアメリカンの戦闘機、XP-51ってやつ、あれどうだろ?と、も一度倉庫から引っ張り出して埃払って飛ばしてみたら、これがP-40なんかよりずっといいことに気づいた(ここは笑うところだ)溺れる何とかはムスタングをも掴んだ。もっともこの段階では、まだ急降下爆撃機A-36Aインベーダという名前だったが…。そこへ英国からマーリンを積んでみろとの報せが来た。溺れて掴んだついでだからやってみた。エンジンは中高度に適したマーリン65を、自動車メーカーのパッカードにライセンス生産させたパッカード・マーリンV-1650。で、作った、飛ばした。いいじゃん!最高じゃん!ダラスに新工場建設して、あとはアメリカお得意の大量生産イケイケどんどん作るっきゃないじゃん!(茅ヶ崎弁のアメリカ人って、一体…)…そうやって稀代の成り上がり戦闘機ノースアメリカンP-51ムスタングは、ついにレシプロ戦闘機最高傑作の座を獲得したのでした。おしまい。

【むすめ。ジャンボ】[娘。ジャンボ]
 モーニング娘。の『LOVEマシーン』のプロモーションビデオに登場するCGアニメーションの架空機。ピンク色の747-400でエンジンはロールスロイスRB211-524系(G形かM形かは不明)と思われる。アッパーデッキの窓の中にいくつかかなり大きな窓があるのが特徴。…与圧をかけたら、恐らくあの窓から破壊が始まるだろう。できれば与圧はかけないで頂きたいものだ…。殆どバンクなしで急旋回する恐るべき性能を持つ。…つーか、あれではフラットスピンである。機体両側面には当時のメンバー、石黒彩、市井紗耶香、中澤裕子、後藤真希、安倍なつみ、保田圭、矢口真里、飯田圭織の顔写真がマッピングされている。どうでもいいが、今や現役の娘。は半分も残っていないぞ(完全に別物になってしまったタンポポよりはましか…)今やったら、さくら組とおとめ組にメンバーを分けないと収拾がつかなくなるな。国籍表示、登録記号はない。ヘルパの1/200で出ないかねぇ…。(ハセガワでも可)
-め-

【めいき】[名機]
 名古屋の工場で作られた航空機、って、なに言うとりゃぁす、おみゃあさん。そら『めいき』じゃにゃーて、『め−き』と発音するんだて。名古屋ではよぅ、名古屋駅はめーえき、名古屋鉄道はめーてつ、金のしゃ〜ちほこの名古屋城はめーじょう、三菱重工業名古屋誘導推進システム製作所はめーゆう、名古屋港と三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所はめーこうって呼んどるがや。名機ってのはよー、ゼロ戦とか、ジャンボとか、セスナとか、誰でもよー知っとるゆーめーな飛行機のことだて。わかったかなも。

【メイデイ】[MAYDAY]
 赤旗の下で拳を振り上げて「要求貫徹!闘争勝利!団結ガンバロー!」ではない。音声による国際無線通信遭難信号。航空機が重大な危機に陥って緊急に援助を求める場合は「メイデイ・メイデイ・メイデイ」と3回繰り返す。2回しか言えなかった場合はどうなるのだろう…。

【めーこう】[名航]
 三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所の略。めいこうじゃにゃあでよ。

【めーゆう】[名誘]
 三菱重工業名古屋誘導推進システム製作所の略。めいゆうじゃにゃあでよ。

【めしどり】[飯撮り]《S》
 食品・料理などの撮影。
写真業界で使われる用語。機内食の撮影も飯撮りである。航空会社の広報用に使われる機内食の写真は、皆さんもご存知のあのヒコーキ写真の大家(おおや、ではないぞ)が撮っていたりする。ヒコーキ撮るばかりじゃないってんだから、航空写真家ってのもなかなか大変な商売なんだな…。
 
食品は照明器具の熱などで変質しやすい被写体なので、いろいろと気を遣う。食べ物の撮影はなによりシズル感が大事である。シズル感とは、冷たいものは冷たそうに、温かいものは温かそうに、果物のみずみずしさ、葉物野菜や緑茶の清涼感、肉や刺身の赤み、炊きたてご飯の抜けるような白さやホカホカの湯気といったものを余すことなく、ときには消費者が持つイメージに合わせてわざとらしいまでに強調して表現すること。ひと言で言えばうまそうに見せろ、ってことである。グラスには薄くワセリンを塗って、その上から軽く霧を吹いて、いい感じにグラスが汗をかいた冷たそうな感じにする。この霧吹きは熟練の職人さんの仕事である。ビールの泡にもそれを作る専門の職人さんがいたりする。ふつ〜にビールを注いだんじゃ、あの泡は作れないんだ。アイスクリームをきれいに掬って見せるのも熟練の技である。もちろん撮影は冷凍倉庫の中だ。コーヒーの撮影は醤油に水を足して色を整え、上からタバコの煙を吹き込んで湯気に見せかけるとホンモノのコーヒーよりうまそうに見えるのだそうである。…って舞台裏を知ってしまうと面白さ半分ガッカリ半分である。

【めす】[牝]《F》
 ダグラスDC-10のうち、主脚の間、
中央の脚のないDC-10をいう。足の間にもう一本あるとオスと呼ばれるって、まぁ、お下品ざぁますわ…。中央の脚を使用せず、常時ちゃんとしまっているヤツもいるし、中央の脚を取り外してしまったり、逆に追加している性転換機などもいるので、外見だけで生まれつきのオスメスの区別をするのはほぼ不可能である。

【メディック】[Medic]
 救難員。救難機で遭難現場へ急行し、降下して救出活動を行う人。救難機に収容できない場合などは要救護者に付き添って必要な措置を施し、時として救難機が接近可能な場所まで要救助者を搬送しなければならないこともある。災害出動では救難活動の最後の手段として起用される場合が多く、過酷な環境に身を置き、要救助者と共に生還することを要求されるため、メディックには高度なサバイバル技術のみならず、人並み外れた体力と、そして何より過酷な職務と環境に耐え抜く気力を求められる。 このため航空自衛隊の救難員になる場合、所属長の推薦を得た上で面接、身体検査、体力検定を受け、救難員養成課程を受ける資格を獲得し、半年にも及ぶ救難員養成課程の訓練の後、さらに海上自衛隊での開式スキューバ課程と小型船舶操縦課程、陸上自衛隊での空挺レンジャー課程…いずれも訓練の厳しさでは他の追随を許さない内容である…を修了することが求められている。よって、制服の胸に空挺徽章とレンジャー徽章を付けている空自隊員は、メディックだけである。胸板の厚みや腕の太さなんて、他の隊員とは二周りぐらい違うぞ。なお、救難員養成課程を受けることができるのは、毎年多くとも4人程度と、誠に狭き門である。当然、第一志望が救難員という人以外、端から受験資格はない。

【めんぜいてん】[免税店]
 販売された国で消費しないことを条件に、その国の酒税・たばこ税・消費税などの課税一定額まで免除して販売を行う店舗。よって空港の税関より先にある場合が多い。市内にある免税店の場合は、外国人を対象として、税込みで販売して出国時に税関から税金分の還付を受けるという方法をとっている場合が多い。航空会社も免税品の機内販売にはかなり力を入れていて、近距離国際線なんかもう空飛ぶ免税店の店内で椅子にくくりつけられているみたいだ。勘弁してくれ。EU加盟国相互間では免税は行われていないので、EU諸国から出域する場合にのみ利用できる。例外的なものとしては沖縄県の観光促進のため、沖縄県から出域する場合に限り、輸入関税のみの免除(購入額20万円を限度)というかたちで那覇空港国内線ターミナル出発フロア内でも免税品の販売が行われていたりする。なお、国によって課税制度が異なったり、持ち込み自体が禁止されている物品(一部のイスラム教国への酒類の持ち込みなど)もあるので、空港内の免税店では購入した物品を旅行中に預かってくれる場合もある。手続きや受け渡しの方法など詳しくは免税店に直接聞いてくれ。なお、
日本の場合、到着時に免税品の購入はできない(日本出発時に空港内免税店で購入して、旅行中に預けておいた物品の受け取りのみ可能)ので注意しておいた方がいいぞ。販売された国で消費しないことが条件なので、建前上正しいって言えば、まあ正しいがね。
 余談だが、米軍基地の航空祭で売っているフラスコ入りのビールも免税(酒税)品だ。米軍基地内での消費という条件での販売なので、缶入りや瓶入りで売らず、わざわざあのような変わった器に注いだ上で販売している。よって厳密に言えば、飲みながら基地の外に出ると酒税法違反ということになるかもしれないが、転売目的でなければいいのだろう…。

【めんせきほうそく】[面積法則]
 →エリア・ルール
-も-

【モービルラウンジ】
 簡単に言ってしまえば自走可能な搭乗待合室。ターミナルビルに接続した状態で乗客を乗せ、飛行機まで移動して機体のドアと車体の高さを合わせて乗客を移乗させる特殊な大型バス。風雨にさらされたりタラップの階段を上り下りする必要はないし、遙か遠くの搭乗フィンガーまで延々と歩く必要もないのでとても便利。車椅子の人も一緒に飛行機に乗れる。ターミナルビルの出発フロアと到着フロアで乗客動線を完全に分離できるので保安上も有利。残念ながら採用している空港は世界でも数少なく、日本に至っては数多くのボーディングブリッジを備えた巨大なターミナルビルこそ大空港の象徴と思っているらしく、完成予想図に描かれたことさえない。

【モクにん】[モク認]《F》
 長距離国際線で、座席に余裕のある閑散期に最後尾のエコノミー席を喫煙席として『黙認』すること。洗面室などでこっそり吸われるよりましだという安全対策上の理由で設置される非公式な存在。航空会社のご厚意なので、マナーを守って皆さん交代でどうぞ。いくらなんでも十数時間の禁煙は酷だよなぁ…。公式には全席禁煙なので、設置されていない場合無理な要求はしないように。煙がお嫌いな方は、予めそういうケースもあるぐらいに思って、なるべく前寄りの席をお取りになるようお勧めする。機内の空気は前から後ろに向かって流れるので殆ど問題はないはずだ。どこの航空会社がやっているか、とは言えないし、航空会社もその点は全く宣伝しない。なにしろなくて当たり前の非公式な存在だから…。非公認喫煙席がない場合でも、キャビンアテンダントに『こっそり』お願いしてみると、使っていないクルー・レストルームやギャレイを内緒で喫煙室に使わせてもらえる場合もあるようだ。これまたどこの航空会社とは言わないが、嫌煙権が幅を利かせるアメリカや、こうした融通が暇な新聞記者に嗅ぎ付けられて新聞沙汰になって、国土交通省の暇なお役人から呼び出しを食らうようなどこかの暇な国ではない…。

【モスキート】
 第2次大戦中の英国の戦闘爆撃機デハビランド・モスキート。英国機ってのはどうしてこう変な名前を付けるかなぁ、だって蚊だよ、蚊。アルミ原料が不足することを恐れて、節約のため木材を切った貼った削ったで作った木造機。この飛行機のおかげでバルサ材の産地、南米エクアドルの山がいくつも丸坊主になったとかならないとか。…ちょっと待ってくれ、アルミ原料が不足するような状況で、南米からバルサを運んでこれると思ってたのか?思ってたんだろうな。それはさておき、左右の胴体を別々に作って、コクピットの床板を挟んで胴体を接着剤で貼り合わせ、胴体の穴に翼の付け根の突起を差し込んで作るという、プラモデルみたいな作り方をしたと伝えられている。英国の頑固な家具職人さんが匠の技で仕上げた逸品だそうである。家具屋さんぐらいで驚いてはいけない。日本軍機の木製プロペラはヤマハのピアノ職人さんが精魂込めて削り出し、ニスを塗っては磨き上げて一本一本作っていたのだそうだ。長閑だなぁ…。戦時中で本人たちは必死でやっていたのだろうが、どこか長閑さを感じるのは、それが木のぬくもりというものなのだろうか…って違うだろ。
 …モスキートの話だったっけ?木造機のモスキートは最高速度640km/hにも達し、その上木造なのでレーダー反射が弱く、敵に発見されにくいといううれしいおまけも付いて、最初は期待もせず興味も示さず「ま〜たデハビランドが変なモノ作ってるよ。ま、やらせておこうか…」とか言っていた、そっちこそ変な飛行機のコレクターとして世界に知られていた空軍省は狂喜乱舞。7785機が生産され、その名のごとく軽やかにドイツの空を飛び回った。
 おまけといえば、高温多湿のインド方面で使われた機体は機内にキノコが生えたとか。これじゃモスキートどころか、冬虫夏草じゃないか。

【モスクワけいゆ】[モスクワ経由]
 シベリア経由開設直後、ヨーロッパ行きの便はロシア政府への通行料支払いの他、一定の割合でのモスクワ寄航を要求され、必要もないのにモスクワに降りていた。乗客の手荷物が紛失するなどいろいろと問題があったが、現在はロシア政府に通行料を支払うだけでモスクワ寄航の要求はされておらず、モスクワに寄航する必要がある一部の便だけがモスクワに降りている。
 モスクワ着陸を要求した理由については、一説によれば、旅客機が偵察機器を装備していないかどうか調べるためだったとも言われるが定かでない。あったとしても外観でわかるような装備は絶対しないと思うぞ。それにシベリアルート最大のお得意様である日本の航空会社の場合、そんなモノ装備したら即座に某左翼政党経由でKGBに通報されるのがオチだな。
 この『モスクワ経由』は、いわゆる『以遠権』とは別物。

【モスレムミール】[Moslem meal]
 イスラム教徒のための機内食。イスラム教では豚肉は御法度であるため、ハムやベーコンも使用しない、ラードもダメ。豚骨で出汁を取り背脂チャッチャ系のチャーシュー麺などもってのほかである。イスラム教国の航空会社では黙っていてもモスレムミールだが、その他の国々の航空会社では『スペシャルミール』として、前もって航空券の予約時に申し込むことになる。食べてみたい人はどうぞ。その代わりお酒はダメですよ。機内でもお祈りを忘れずに。アラー・アクバル(アラーは偉大なり)…。
 そういえば、イスラム教のラマダン(断食月)の時はどうするのだろう。やっぱり日中は飲食禁止なのだろうか?

【モヒカン】《F》
 全日空が737導入を機に、1970年代後半から1980年代後半にかけて使用していた垂直尾翼が水色で『ダヴィンチのヘリコプター』が描かれていた塗装。機体頂部に水色のラインが入っており、これがモヒカンカットのようだったのでこう呼ばれる。

【モヒカンルック】《F》
 →モヒカン

【もんげん】[門限]《S》
 大阪国際空港(伊丹空港)の騒音規制による発着時刻の制限。発着共21:00までと定められている。到着がこの時刻に間に合わない可能性がある場合、国内線ではチェックインの際に出発地へ引き返す場合がある旨告げられ、同意を求められた。国際線の場合は成田などへダイバートになり、最終寄航地出発時ですでに間に合わないのが明らかな場合はフライト自体キャンセルになった。現在では関西国際空港があるので国内線でも出発地への引き返しはせず、関空にダイバートするケースが多いようである。
 さて、伊丹まで飛んできたはいいけれども21:00までに到着(着陸ではない)できる見込みがない場合、伊丹の管制官は即座に出発地かダイバート先へのフライトプランを承認する。承認とはいうが、事実上の『門前払い』と言っていい。
 伊丹の門限がかなり早いので有名だが、日本の空港は千歳と関空以外、どこも運用時間という門限を抱えていて、よほどのことがない限り運用時間外の発着は行わない。2001年9月11日に、アメリカで同時多発航空テロが起こった際、連邦航空局は管轄する空域内での民間航空機の飛行をすべて禁止した。このときに日本からアメリカに向かっていた航空機は出発地へ引き返すかまたはカナダへダイバートとなり、多くの航空機が翌日未明から早朝にかけて成田に着陸している。運用時間外での数少ない例だが、このときは単に航空機を着陸させただけで、入国審査や税関が朝5時まで開かなかったために乗客は空港ターミナルビル内に缶詰にされたという、何ともとほほな話もおまけに付いている。

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