-な-

【ないさいけんよう】[内際兼用]
 国際線と国内線の両方で使用する機材。内際兼用機として航空会社が予め指定した機材に、膨張式救命筏の搭載(国際線向け)や小児用酸素マスク・ライフベストの増備(国内線向け)など、国際線・国内線双方で必要となる機内装備品が準備されている。定員の多い近距離国際線用機に多いが、内際兼用機か否かを外観から識別するのは不可能である。

【ないへん】[内変]
 国際線用機材を国内線で使用する際に行う、搭載品の変更や各種の手続き。機内設備をそのまま使う場合でもビデオ・オーディオプログラムや機内誌などの変更、小児用酸素マスクや小児用ライフベストの増備、税関への申請などやることがいろいろあって『大変』である。

【なかあお】
 飛行教導隊(宮崎県、新田原基地)に所属するF-15DJ、02-8072機のニックネーム。主翼中央部、胴体、尾翼中央部などが青で塗装されている、ちょっと変わった迷彩。機体の形状や距離感を欺瞞するのが目的らしい。

【ながしどり】[流し撮り]
 遅いシャッタースピードで、被写体を追いながら撮影する撮影技法。プロペラ機やヘリコプターの撮影は、高速シャッターを使用するとプロペラやローターの止まった不自然な写真になってしまうので、流し撮りは必須である。ジェット機の撮影でも、機体をぴたりと止めて背景を流し、スピード感を協調したりすることはよく行われる。成功すればスピード感溢れるダイナミックなシーンをものにできるが、機体の動きにカメラが追随できないと、ただのブレた失敗写真になってしまう。最適なシャッタースピードは、撮影者の狙いや使用レンズ、被写体までの距離、被写体の速度などによって異なるが、プロペラやローターをぶらす程度なら1/250程度でも充分にその効果が現れる。

【ながたま】[長玉]
 望遠レンズのこと。普通は35mm版で焦点距離200mm以上のレンズのことを言うが、航空機の撮影では300mmで標準などと言われる。400mm、500mmなどは当たり前で、航空祭では税別金壱百萬円也とも言われる600mmのレンズが、八百屋の店先に並ぶ大根のようにゴロゴロしていたりする。恐ろしい世界である。

【ナナニイ】[72]《F》
 1/72の模型。1/144の倍の大きさってことになる。その分小型機に向いている。全長20mの機体だと27cmぐらいである。単発単座レシプロ機だとA5版程度、ジェット戦闘機でB5版程度の大きさになりお手頃。値段もお手頃。参入しているメーカーも多い。細かいところに手を加えたりするのも比較的容易で、機種のバリエーションも豊富なら、ディティールアップのための別売りパーツや別売りデカールなども豊富にある。タミヤやハセガワの定番製品なら頻繁に再生産されるので待っていれば手に入るし、そうでなくても模型店やおもちゃ屋を数軒回れば手に入る場合も多い。ちょくちょく改良も加わる動きの活発なスケール。戦闘機作るならまずナナニイがお勧めである。

【ななめ】[斜め]《S》
 空撮のこと。地上の被写体を、斜め上空から撮影する場合をいう。撮影するのは事件・事故現場だったり、学校創立記念の人文字だったりと、いろいろである。トイレもないヘリで何時間も飛んでいると、だんだん近くなってきて真冬だというのに脂汗が…。航空測量写真撮影の場合は『垂直』という。

【なめもの】ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 ある被写体の前に置かれたもう一つの被写体。進入灯の向こうへ着陸機が降りてゆくような画面では、進入灯がなめものになる。ピンぼけで何が手前にあるのかわからないようではなめものの意味がないので、なめものとの距離をとるか、絞り込んでピントをそこそこ残すようにするのが基本。映画関係の用語。

【なりたトンネル】[成田トンネル]
 成田空港の進入管制区の北側で、航空自衛隊百里基地の進入管制区と、羽田空港の進入管制区に上下を挟まれた格好になっている空域。成田空港開港当初、マスコミによって名付けられた。

【ナリタリアン】《S》
 成田空港に勤務する日航の社員で、成田市内在住者のこと。成田空港開港当初の1980年代のスラングで、何にもない空港周辺でストイックな生活を送っていたからと言われる。ベジタリアン(菜食主義者)に引っかけたシャレか?

【ナローボディ】
 機内通路が一列のみの旅客機。B737、DC-9、A320などの中・小型旅客機がこれにあたる。
機内通路が2列以上備わっているB747などの旅客機は、ワイドボディと呼んでいる。

【なんみん】[難民]《F》
 冬の千歳空港名物。寒波の襲来で空港が閉鎖されると大量に発生する。特に雪祭りの時期に重なると空港ターミナルが難民キャンプ状態になって立錐の余地もなくなり、かといって外はマイナスうん十度だから追い出すわけにもいかないので全国ニュースの話題にもなる。
-に-

【にじゅうはんてんプロペラ】[二重反転プロペラ]
 同軸上に二組のプロペラを重ね、それぞれを反対方向に回るようにしたもの。プロペラ直径を小さくでき、プロペラ後流の影響(プロペラの生み出す空気の流れは渦巻き状なので、機体が渦の回転方向へ振られる)がなくなるが、言うまでもなく機構は複雑になる。アンリミテッドクラスのレース機や、ロシアの大型ターボプロップ機などに見られる…つーか、ロシアのターボプロップ機はやっぱこうでないと…。ツポレフTu-114なんか、後退翼だわ、4発ターボプロップ二重反転プロペラだわ、長い脚にでっかい車輪だわ、機首が爆撃機みたいにガラス張りだわとめっちゃかっちょええことこの上ない。

【にっぽんヘリコプター】[日本ヘリコプター]
 →NH

【にほんこうくうたいわんじぎょうほんぶ】[日本航空台湾事業本部]《S》
 台湾乗り入れのためにJALが設立した子会社「日本アジア航空」の異名。中国政府に対する配慮のために設立した会社なので、設立当初は乗員を全てJALの出向で賄い、株式は日航の100%保有など『日本航空台湾事業本部』と呼ぶにふさわしい状況であった。今では、独自に乗務員を採用したり、独自でキャンペーンを行なうなど『日航台湾事業本部』から脱皮しつつあるとも言われるが、機材の共有など、やっぱり同じ会社である。

【にほんトランスオーシャンこうくう】[日本トランスオーシャン航空]
 かつての『島々の翼 南西航空』のこと。最初に聞いた時は、いったいどこの航空会社かと思ったぞ。

【ニャンコエアー】
 航空無線をワッチしていて、「ニャンコエアー」と聞こえたら、それは『アンクエアー』のこと。エアー・ニッポンのことである。

【にゅうた】《F》
航空自衛隊新田原(にゅうたばる)基地。宮崎県児湯郡新富町にある。日本全国の戦闘機パイロットを相手に空中戦訓練に胸を貸す『飛行教導隊』がここに置かれている、まさに虎の穴である。基地の周りには好条件の撮影場所が数多く点在し、基地祭ではかゆいところに手が届く基地側の配慮が嬉しい。そしてここには最強の戦闘機パイロット達がいる。だから多くの航空ファンが、親しみと憧れを込めて「にゅうた」と呼ぶのである。

【にんげんのたて】[人間の楯]
 戦略目標に民間人を配置しておき、爆撃を躊躇わせたり、爆撃されてその場にいた民間人に犠牲が出た場合は世界的な批判を喚起しようという目論見で取られる手段。捕虜を使う古典的な手段や自国の民間人を動員する場合もあるし、第三国の民間人を拘束・軟禁することもあるし、わざわざ人間の楯になりに行く人も広い世界にはいる。拘束・軟禁されている人を何とか救おうとするのは、それは人間として当然だが、自らの意志で人間の楯になりに行った人を、一部のマスコミや政治団体が世界の平和を守るため自ら立ち上がった英雄のように賛美するってのは、それこそ人命の軽視じゃないか?
-ぬ-

【ぬ】
 
ぬで始まる航空用語ってどこにも見あたらないのだが、なんかあったっけ?インターネット上で以前見かけた航空用語辞典には『ぬの』って項目があったんだが、アレは羽布って言って、はふ、って読むんだけどな…。
-ね-

【ねじりさげ】[捩り下げ]
 
翼の取付角を翼端に向かって小さく、あるいは下向きになるようにして翼端失速を防ぐ手法。翼は捩られた格好になる。翼端失速は補助翼が効かなくなるなる、横安定が悪化するなどの弊害があり、さらに後退翼機では翼端失速によって翼全体の揚力作用点が前方に移動し、機首上げモーメントを生じ、失速を促進して非常に危険であるため、失速の始まる箇所を翼の付け根付近になるよう捩り下げが施される。翼端部の迎え角を小さくすることによって、高迎え角時の翼端での失速発生を遅らせるためのもの。翼の根元から失速が起こる矩形翼では必要がなく、テーパー翼や後退翼に見られる。
 プラモデルでも捩り下げを再現したものがあり、タミヤの1/32零式戦闘機は捩り下げが施されているのがはっきりとわかる。お持ちの方は翼と胴体を仮組みしてでもじっくりと眺めてみてほしい。パーツが歪んでしまったわけではないので、修正してはいけない。
-の-

【のうどうくうこう】[農道空港]
 正式には『農道離着陸場』と称する『場外着陸場』である。普段は農道として使用し収穫した作物は農道に航空機を発着させて出荷してしまおうという代物。(実は、航空保安上、飛行場は柵などで囲まなければならないから、農道として使うことはできないのだが…)作物は新鮮なうちに消費地に届くから高く売れるという目論見。ところが、全長800mの滑走路で、発着できるのは軽飛行機に限られるから一回あたりの輸送量は軽トラック程度。輸送コストは恐ろしく高いものにつく。例えば近くに福島空港がありながら建設された福島飯坂農道空港から、埼玉県桶川市のホンダエアポートまでの輸送コストは、軽飛行機のチャーターに19万円、積載量400kgとして1kgあたり475円。トラック輸送ならば福島から東京の大田市場まで直行で、桃が1kgあたり10円、サクランボで20円程である。積み替えを考えると所要時間に大差なく、消費者が高く買わされるだけ。農産物をそうまでして大急ぎで運んでどうしようというのか、結局、全国7箇所の農道空港に200億円以上をかけ、そのうち45%は国庫補助を投じ、年間発着数は最多の豊肥農道空港(大分県大野町)で130回程度。他は半分以下というところが殆どという惨状。建設費の半分は地元自治体の負担であるため、地方の活性化どころか重荷にさえなっている。例によって農水省と族議員、ゼネコンの三位一体による税金の無駄遣いである。

【ノーショウ】[no show]
 服の虫除け、ってそれは樟脳。予約を入れているにもかかわらず、搭乗手続きに現れない乗客のこと。その場合、それ以降の乗り継ぎ便、復路便の予約もすべて取り消される。

【ノーズ・アート】[nose art]
 米軍爆撃機などの機首に描いてある絵のこと。実物をアップで見ると、色数も塗装に使う機材も限られるためか、結構雑な絵が多い。ワンボックス車にエアブラシで描かれているオネイチャンみたいなものを想像していると、がっかりである。水着姿の女性の絵などを描いたものが一般的だったが、アメリカでは第2次大戦中から既に「女性蔑視!」との抗議の声が上がっていたそうで、本国に帰還する際は消したり描き直したりしていたようで、毎回服を着たり脱いだり忙しいノーズアートもあったらしい。進歩的と見るか単に小五月蠅いと見るかは各自御勝手に…。なお、ビキニの登場については服飾の本によれば1945年説と1947年説の二とおりがあるが、いずれにせよビキニ姿のノーズアートは第二次大戦中には存在しないということである。あるとしたらそれはランジェリーということだ。余談だが、ビキニの起源は3世紀のシチリア島で出土した石像にみられる、胸と腰をそれぞれ帯で巻いたパニュというものらしい。ビキニの語源はビキニ環礁での核実験のように衝撃的であったからだという説があるが、どうもこれは眉唾らしい。ま、どちらもどうでもいい話である。
 米軍の大戦機にはディズニーキャラクターを描いたものもあったが、丸三つ描いてミッキーですとかほざいている現在と違って、往時のディズニーは大らかだったようだ。クレームが付いて慌てて消したという話は聞かれない。
ついでにスヌーピーについては、米軍が使用する場合に限りノープロブレムだそうである。
 最近は迷彩塗装やロービジ化で本家米空軍ではあまりお目にかかれないが、その代わりにヴァージン・アトランティック航空の旅客機に『スカーレット・レディ』が進出して世界各地の空港に華を添えている。本来のノーズアートは一機ずつ異なる絵なのだが、『スカーレット・レディ』は、ヴァージン・アトランティック全機共通である。こちらは最前線の兵士が限られた時間と機材を割いて描いたものとは異なり、その道のプロが厳選された塗装機材を使ってじっくりと描いているので、トーンも豊かである。
 本来は大型機に描かれることが多かったノーズアートだが、航空自衛隊の戦技競技会参加の戦闘機に、期間限定で飛行機好きの漫画家や、イラストを趣味としている隊員が描いたノーズアートが入ることがある。凝り性の日本人らしく細密なノーズアートは、専門誌が特集や別冊を組み、プラモデルでも特製デカールが出るほどの人気で、自分の目で見ることのできなかった海外のジャパニメーション好き航空ファンを大いに悔しがらせている。

【ノータム】[NOTAM]
 Notice To Air Menの略。航空官署が発行する航空機の運航に関する各種情報。空港施設や航路標識などの工事や障害状況の告示、一時的な管制方式や航空路の変更、さらにはロケットの打ち上げ予定など、緊急あるいは3ヶ月未満の短期的なものを扱い、主にテレタイプ送信されるが、国内の配信にはCADINというコンピュータネットワークを利用している。
 以前のNOTAMには『CLASS 1 NOTAM』と『CLASS 2 NOTAM』の2種類があった。CLASS 1 NOTAMは、空港施設や航空路の変更など長期あるいは永久的な変更を扱い、主に航空路誌の次回改訂までの補完を目的として文書で発行されていた。現在、CLASS 1 NOTAMは航空路誌補足版(AIP Supplemant)と名称を変え、黄色の用紙で発行されている。現在のNOTAMは、過去にCLASS 2 NOTAMと呼ばれていたものにあたる。
 転じて、航空ファンの間で流れる様々な情報や連絡事項などのタイトルとして使われる場合もある。飛来するレアな機体の情報などの他、挙げ句の果てには飲み会の連絡まで『NOTAM』と題されているに至っては…。→NOTAM

【ノックダウンせいさん】[ノックダウン生産]
 本来の製造元から部品、治具、専用工具などを一揃いの状態で買ってきて、機体を組み立てること。塗料は別売りである。技術力は殆ど要らない。ライセンス生産に先立って行われ、製造工程の検討や習熟に用いられることが多い。JR東日本新津車両所で作られている京浜東北線の209系電車も、東急車輌から部品供給を受けたノックダウン生産である。まあ要するに、ホンモノのプラモデル、つ〜か、スナップキットだな。

【のりくら】
 →のりもの倶楽部

【のりものくらぶ】[のりもの倶楽部]
 イカロス出版が飯田橋で経営している、乗り物のグッズや模型や書籍のお店。模型に関してはなかなかのものだが、日本語の航空書籍の品揃えは池袋の『ジュンク堂書店』や、羽田の『ブックス・フジ』に負けてるぞ。もうちょっと、がんばりましょう。

【ノルナ】
 『乗るな』である。人が乗ったら壊れてしまうような場所に表示される。足を滑らせて転落するおそれのある場所を含むとも言われるが定かでない。ステンシルで塗装してあるので画数の少ないカタカナ書きである。同様に『フムナ』というのもある。いずれも現在では英語表記の『NO STEP』がこれに代わっている。

【ノンチュリオン】[Nonturion]《S》
 着艦0回のひよっ子。米海軍におけるスラング。昼間同一空母への着艦100回でセンチュリオン、夜間同一空母への着艦100回でノクチュリオンに引っかけた洒落。

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