-ら-

【ラーメンつるつる】
 航空無線をワッチしていて「ラーメンつるつる」と聞こえたら、それは羽田の『Runway 22』のこと。そう聞こえる人が世の中にはいるらしい。

【ラーメンですかい】
 →うどんですかい

【ライセンスせいさん】[ライセンス生産]
 本来の製造元に、契約(ライセンス)で定めた料金を支払って別のメーカーが製造を行う生産形態で、本来の製造元から部品供給を受けず、自力で調達する場合を言う。生産することができる数は契約によって定める。本来の製造元から部品の供給を受け、組み立てのみを行う場合はノックダウン生産と呼び分けているが、ライセンス生産とノックダウン生産の境目はとても曖昧。契約で一部部品の自力調達が認められなかったりする場合は、ライセンス生産とノックダウン生産のミックスってことになる。航空自衛隊のF-2戦闘機は胴体部分が主にノックダウン生産。主翼などがライセンス生産である。本来の製造元は自社工場のラインを動かさなくても知的財産権でおいしい商売ができるし、生産を行うメーカーは製造ノウハウを学べる。買う側(主に軍用機製造で行われるので、軍隊)にすれば普通に本来の製造元から買った方が安くつくが、自国メーカーに技術力を付けさせたいという思惑がある。こうした三者の利害が一致した場合に行われる。日本の戦闘機の多くはライセンス生産によって調達され、日本のメーカーが航空機生産のノウハウを得るのに大いに貢献しているが、そろそろ、お寒い開発環境の向上も目指してはどうかと思うぞ。飛行機はアメリカにお任せ、クルマと家電は中国にお任せでは、日本が作って世界に売る物がなくなってしまうじゃないか。

【ライター】
 旧帝国海軍の一式陸上攻撃機は、米軍パイロットの間から『ライター』の渾名で呼ばれていたとか。燃料タンクやエンジンの防弾・消火装備が貧弱で「一発で火がついた」のだそうだ。ただ、米軍のパイロットの話によれば「日本機はみな一発で火がついた。だから特に一式陸上攻撃機だけを指してライターと呼ぶことはなかったはずだ」そうである。日本人が戦後作った話か、あるいはそう呼んでいたとしても、一式陸上攻撃機だけでなく日本機全般を指していたものと思われる。

【ライトガン】
 管制室の窓辺に天井から下がっていて、無線設備の故障などで航空機などに指示が出せない場合や、無線機の故障などで指示が受けられない航空機などに発光信号で指示を送るための投光器。内蔵されている赤と緑のフィルタで赤色光と緑色光が出せ、フィルタを使わなければ白色光が出せるので、この3色光の点滅のパターンによって航空機などに指示を出す。最大射程は約10km。照準用のスコープが付いているが、撃墜することはできない。これをステージライトにして、インカム付けて歌って踊れる管制官を目指してはいけない。やるならまず、ミラーボールを設置するべきである。(…って、そうじゃないだろ)

【ライフジャケット】
 →救命胴衣

【らいげきき】[雷撃機]
 艦船に対して、魚雷による攻撃を行う飛行機。重い魚雷を抱えて海面スレスレに飛行して対空放火の弾幕をくぐり、敵艦に肉迫して魚雷を放ち、敵艦の真上を駆け抜ける。このため非常に損耗が激しく、雷撃に二度出撃した者はいないとまで言われた。現在では使用されていない機種である。

【ライフベスト】
 →救命胴衣

【ラウンデル】
 丸形の紋章。転じてイギリス軍用機などに見られる丸い国籍マークのこと、とはいっても普通は日の丸のことをラウンデルとは呼ばない。国旗の使用色で同心円状に塗ったものだが、第二次大戦中太平洋戦線のイギリス機は、日本機との誤認を避けるため中央の赤丸を青丸に塗り替えたものもあった。 →蛇の目

【らくごうへいき】[らく号兵器]
 「落語兵器だって?バカなこと言ってるからお前さんはいつまで経っても与太郎って言われるんだ。いいかい、らく号兵器ってのは陸軍の落下傘部隊が装備する兵器の総称だ。アメリカ兵に落語聞かせたってわかるわけがないだろ」「あ〜、落語は難しいよなぁ。俺も寄席を出て電車乗って家に帰ってから大笑いしたくらいだから…」

【ラストチャンス】ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
(1)セイフティ・ピンの抜き取りを行う場所。すべての準備を完了し、機体各部の固定や武装の安全装置を取り外して、各舵の動作などを確認する。それが終わればあとは飛び立つだけなので、不具合を見つける最後のチャンスというわけ。
(2)《S》出発ラウンジの喫煙コーナーを、こう呼ぶ人もいる。

【ラそうちき】[ラ装置機]
 旧帝国陸軍の輸送機で、落下傘部隊輸送用の装備を有する機体。

【ラピート、はるかにおとく】[ラピート、はるかにお得]
 南海の宣伝文句。南海の関西空港特急『ラピート』は、JRの関西空港特急『はるか』より安くてお得でっせと言うてはる。昔から関西では鉄道会社同士の競争が熾烈で、いくつもの鉄道が並行して走っとるさかい客の争奪戦は日常茶飯。言うたら何やけど、京都・新大阪からちまちま客を拾ってやってくるはるかに比べて難波発のラピートはお客の入りはイマイチらしいいう話でっせ。そのはるかも大阪駅(梅田)には停車でけへんし(大阪駅構内では東海道線から大阪環状線に乗り入れられないので、貨物用に作られた線路を通る)難波では中心街から外れた場所を通ってるさかい大阪・関西空港間では全くお話にならしまへん。結局梅田へ行かはるなら伊丹空港のほうが便利やけど、バスは梅田の目の前で大渋滞に巻き込まれよる…。いらちな大阪人にはどれもみんな帯に短したすきに長しや。儲かってまっかと訊かれれば、みなさんぼちぼちでっしゃろなぁ…。(関東人が怪しい関西弁を使うな!)

【ラビッツ】[Rabbits]
 JAL Rabbits。日本航空の女子実業団バスケットボールチーム。選手の多くは国内線のキャビンアテンダントである。創部は1967年。正直言ってあんまり強いチ−ムではなく、長年全日本リーグと関東実業団リーグを行ったり来たりのシャトル運航を続けてきた。とは言っても古くからの根強いファンは数多く、人気だけなら昔からナンバーワンである…と言うと浦和レッズとか阪神タイガースみたいだが、全くその通り。試合には日本中どこへでもバーゲンフェアで応援に駆けつける熱の入れようである。但し、ボロ負けしてもサポーターが暴動を起こさないあたりは、レッズサポーターやタイガースファンに見習って頂きたいものである。2002年シーズンはレッズやタイガースを差し置いて、WJBL(全日本女子バスケットボールリーグ)の3位に入り、さらには当たるたびに粉砕され続けてきた宿敵(…と思っているのはラビッツサポーターだけである)最強軍団シャンソンに、12年ぶりに勝っちゃったからさあ大変。どの位大変かというと、ワールドカップの本大会で、日本がブラジルに勝ったようなものである。長い苦難の日々をラビッツと共に歩んできたサポーターは感涙にむせんでいる。来シーズンこそはいよいよ念願のファイナル進出、そして女王の座を獲得するのである!常勝ラビッツの夜明けは近いっ!

【ラビット】
 富士産業(前身は中島飛行機、現在の富士重工業)のスクーター。試作車は旧帝国海軍の攻撃機銀河の尾輪を前輪に使ったという有名な話がある。倉庫に大量にしまい込まれていたのだが、兵器部品(一応、そういうことになる)ということでGHQの厳重な管理下にあり、許可が下りるまでが大変だったらしい。実際付けてみるとスクーターの車輪としてはかなり小径で、直進安定性は余りよろしくなかったようである。というわけで量産車はちゃんと専用品を使っていた。

【ラプコン】[RAPCON]
 →RAPCON

【ラムジェットエンジン】
 超音速の空気の流れをインテイク形状によって亜音速まで減速し、燃料を噴きつけて燃焼させて推力を得るエンジン。 マッハ3以上の超音速に適しているが、音速以下では使用できない。そのため、初動加速から音速を超えるまでは別の推進方法が必要となる。そこで、ターボジェットエンジンを内蔵したターボラムジェットエンジンや、ロケットブースターで初動加速を得て、ロケットの固体燃料が燃え尽きた後の空洞をラムジェットエンジンとして使うというものもある。
 何やら、えら蓋を動かせず、泳ぎが止まると呼吸困難になる鰹やマグロみたいなエンジンである。

【ララ】[LRRA]
 対日援助物資…って、いつの時代の話だ!Low Range Radio Altimeterの略で、電波高度計のこと。

【ラン】《S》
 乗務した回数。着陸を意味するLandingから。そりゃぁ、離陸したっきりで着陸してませんではとても困る。

【ランダム・スティープ・アプローチ】[random steep approach]
 
地対空ミサイルなどで攻撃される虞がある場合、そういった地域は高々度で通過し、安全がある程度確保されている飛行場上空で旋回しつつ一気に降下。その間もランダムに機首を振ったり降下率を変えたりして自機の針路を欺瞞する着陸方法のこと。
 最近新聞を読むと、立派な大学を出た(であろう)新聞記者が「地対空ミサイルの射程を避けて螺旋状に降下する着陸方法」なんて解説をしていたりする。半分正しいけど、空幕広報のプレスリリースを丸写しなんだろうね。じゃ、ランダムとスティープはどこへ行ったんだ?ランダムとスティープのどこが螺旋状なんだ?って疑問を持たないのが最近の記者だ。スティープ(steep)とは、急斜面、急勾配といった意味。ランダム(random)はご存知あのランダムだ。この二つの単語でどんなモノか想像して、プレスリリースにツッコミを入れるのが記者の仕事だろう。そのための記者会見だろう。有効に使われていない記者会見ならなくてもいいし、プレスリリースをもらってくるだけなら小学生でもできる。これじゃ大本営発表そのまま垂れ流しってのと同じ。いつか来た道ってやつだぞ。

【ランディング・ギア】[landing gear]
(1)《S》鶏の骨付きもも肉。「今日のおかず何?」「ランディングギア」「鶏かぁ…」海上自衛隊の、主に航空基地で用いられる。
(2)航空機が着陸に用いる車輪のこと。水陸両用ではない飛行艇や水上機が装備する、移動専用の車輪はランディング・ギアではなく、ビーチング・ギア(Beaching gear)と言う。

【ランナー】《S》
 出発時間になっても搭乗せず、空港中に『お呼び出し』を申し上げられ、あわてて搭乗口に駆け込んでくる乗客のこと。でまたそういうのに限って搭乗口で財布の中のマイレージカードを探し始める…。

【ランプショット】
 地上にいる飛行機と同じ高さに立って撮影した写真。丘の上やビルの上から見下ろして撮影したのはランプショットではない。一般の人は航空祭か、ランプバスとタラップの間ぐらいしかランプショットを撮れるチャンスはないが、実際撮影してみると背景がごちゃついたり、上下に間抜けな空間ができたりで、あまり美しくはない。余談だが、航空雑誌でよく見かける関西空港でのランプショットは、すべて空港関係者、航空関係者の撮影である。仕事せんかい!

-り-

【リアルグラス】《S》
 ガラス製のグラス。重くて割れやすいガラス製のグラスなのでわざわざこう呼ぶのだろう。軽くて割れにくいプラスチック製グラスとの区別のためかもしれない。当然、リアルグラスはエコノミークラスなどでは使われない。
 ガラスといえば、旅客機の窓ガラスにはコクピットのフロントガラスにしか本物のガラスは使われていない。客室の窓はアクリル製。理由は軽量化と、アクリルが変形に極めて強い素材だから。

【リージョナル・ジェット】[Regional jet]
 地域航空ジェット輸送機。ターボプロップ機に代わって地域航空の高速化を狙った50席前後の短距離用小型旅客機。コミューター機やビジネス機の主要部を流用して作られている場合が多い。

【りくじょうこうげきき】[陸上攻撃機]
 陸上を攻撃する飛行機ではなく、陸上基地から発進して洋上の敵艦船に魚雷攻撃を行う旧帝国海軍の双発・中型飛行機。魚雷艇を空に飛ばしてしまおうという発想から生み出された。魚雷の代わりに爆弾を積んで爆撃機としても使うことができたが、もともとが雷撃機として作られているから米英あたりの同規模の爆撃機に比べると爆弾の搭載量は少ない。双発・中型の陸上機による雷撃は日本では大いに発達したが、ヨソの国ではあまり例がない。イタリアにちょっとあったぐらいかな?大正から昭和初期のワシントン・ロンドン両軍縮条約で日本は戦艦、航空母艦の数を著しく規制されたための苦肉の策だったようである。略して陸攻(りっこう)諸外国にはあまり例のない機種なのでtorpedo bomber(雷撃爆撃機)という、なんか無理矢理な訳をするしかないが、相手が日本軍機に精通した研究者ならばRikkoでも通じる。

【りちゃくりく】[離着陸]
 読んで字のごとく離陸と着陸をくっつけて略している。そのまんま、他に言うことなし。

【りっこう】[陸攻]
 陸上攻撃機の略。なぜかりくこうではなく、りっこうと読む。→陸上攻撃機

【リバース】
 →逆噴射

【りはっちゃく】[離発着]
 ここまで定着している用語に、今更どうこう言っても始まらないけど、何か変じゃないか?だって、離発着だよ、離発着っ…。

【リヒート】[reheat]
 →アフターバーナ

【リフトバス】
 車椅子を使用する乗客の、飛行機への乗降を行う車両。ボーディングブリッジが使えない場所で活躍する。バスとは言うが、トラックの荷台部分がキャビンになっていて油圧で昇降するものが大半。バスと呼ぶにはいささか無理がある外観故、PBL(Passenger Boarding Lift)という呼称が最近では一般的である。羽田にはシャーシ部分だけが新しくて、キャビンは編者がグランドハンドリングのアルバイトをしていた十うん年前のままという、窓が平行四辺形の骨董品(あの当時でも既に骨董品)が今だにいて、驚いた驚いた。

【リマ】《S》
 →リマークス

【リマークス】[remarks]《S》
 特記事項。転じて要注意人物。何が要注意かって、VIP級の人物であったり、搭乗拒否寸前の問題人物であったり、伝説の第○期なんていう大先輩だったり、なんとなくクリスタルのペログリ知事だったり、誰とは言えませんがそりゃまあいろいろと…。これに比べりゃトリプルユーなんて、かわいいかわいい。→リマ

【リムジンバス】
 空港へ行くバスは、なぜかリムジンバスである。大きな手荷物を床下に収納できるハイデッカー車はいいとして、川崎駅発羽田空港行きとか、大井町駅発羽田空港行きとかの、ごく普通の路線バスにもリムジンバスと書かれている。それは理不尽だぞ、K急。

【リモート】
 滑走路の短い飛行場で、その飛行場に着陸できない場合や、飛行場以外の場所で行われる展示飛行で、最寄りの大規模な基地から飛来し、展示飛行を行うもの。ブルーインパルスの場合、ナレーションは入るが、ウオークダウンやランナップなど、地上での演技や展示は当然だが、ない。使用機がT-4になったおかげで短距離での離着陸が可能になり、リモートは減っている。

【りょぐけんさ】[旅具検査]
 税関の手荷物検査。旅具というのが何とも古めかしい。まるで合羽からげて三度笠、である。

【りょこうけっせんしょう】[旅行血栓症]
 いわゆる『エコノミークラス症候群』のことで、正式には『深部静脈血栓症』という。→深部静脈血栓症

【りょじょう】[旅情]
 飛行機を利用した旅にはないとされるもの。曰く「飛行機は単なる移動手段であって、飛行機に旅情はない」と…。大きなお世話だな。従来とは異なる新たな視点を提示できぬ無能な旅行作家が使う字数稼ぎの常套手段である。

【りりくきょり】[離陸距離]
 静止状態から走り出して、高度50ft(T類タービン機…世間では旅客機と呼んでいる…は高度35ft)に上昇するまでの距離。降着装置が地面を離れるまでの距離ではない。この高度まで上昇して、離陸滑走が完了した、と言える。離陸距離は機体の重量やエンジンの推力、気温・標高など空気密度、離陸時の風向や風速によって変わってくるため、滑走路が短い場合や、飛行場の標高が高い場合、離陸滑走中のエンジン故障に備えるなどの理由で、旅客や貨物、燃料の搭載量を抑える必要がある。現実には燃料搭載量は主に飛行距離に大きく左右される上、ダイバート先へ向かうための燃料や、その他風向きの変化などに備えた予備燃料など、安全に直結し、最低の搭載量が規定されているものであるため、燃料は規定量以上積んだ上で、旅客や貨物の搭載量を抑えるのが普通。但し、一旦滑走路の長い別の空港まで飛び、そこで燃料を追加して目的地に向かうという手法もある。大阪(伊丹)発香港(啓徳)経由フランクフルト行きのルフトハンザ機がこの方法で飛んでいた。この方法であれば、滑走路の短い伊丹で搭載する燃料は、伊丹・啓徳間の規定量で済むことになる。以前、名古屋空港で某外国航空機が、風が吹いてくれないからこの重量では離陸できないと離陸を中断したことがあった。あれこれ欲張ると、ハイテクの塊も凧同然である。また、重量だけでなく飛行場の気温や気圧も離陸距離を左右する。熱帯地方や高地など空気密度が低い場合は滑走距離は長くなる。南米アンデス山地の飛行場には、1500mもの滑走路を持ちながら軽飛行機しか飛ばせない飛行場というのがある、空気密度が低く、揚力が生み出しにくい上に、エンジンの出力も上がらないためで、低地では数百m程度で離陸してしまう軽飛行機が、1500mの滑走路を目一杯使ってやっと離陸してゆく。

-る-

【ループ】[Loop]
 同じところをぐるっと回って緩やかに高度を稼ぐのは地上の乗り物(ジェットコースターを除く)のループ。上越線の清水トンネルや肥薩線の大畑(おこば)レインボーブリッジ芝浦側のループ橋などが有名。航空機によるループはいわゆる『宙返り』のこと。大型旅客機のループなんて見てみたいものだが、曲技飛行用に作られた航空機でしかやってはいけない。『宙返り』と言うか『ループ』と言うかで『一般人』と『通(まにあ)』に分かれる。
 余談だが、日本航空JA8119号機の事故について書かれている角田四郎著『疑惑』において、大月市上空での旋回を『ループ飛行』としている記述は、地上の乗り物のループ(水平方向のループ)と航空機によるループ(垂直方向のループ)を混同させる可能性があり、好ましくない記述だと言える。角田氏自身が混同しているということはおそらくないだろう。なぜならあの事故に『疑惑』を投げかけている人物が、地上の乗り物のループと航空機によるループを混同してしまっているなどという基本的なミスは、あってはならないことだから…。

【ルフトハンザ・エアポートエクスプレス】[Lufthansa Airport Express]
 ルフトハンザ・ドイツ航空が運航する、じゃなかった運行する列車。空港アクセスではなく、航空機では距離が短か過ぎて効率の悪いフランクフルト・デュッセルドルフ間、フランクフルト、シュツットガルト間で航空機を補完する形で運転されている。当初は専用車による運行だったが、現在、インターシティやICEの一部座席をルフトハンザが借り切る形で運行されている。乗車には運転区間に有効な航空券が必要で、デュッセルドルフおよびシュツットガルト発着ならエコノミークラスチケットで搭乗、じゃない乗車可能。予約は日本国内のルフトハンザドイツ航空の営業所や代理店でもできる。スケジュールは、ルフトハンザの時刻表で確認のこと。フライトナンバーは9000番台が割り当てられている。
 驚いたことに、この列車のためにケルン中央駅とデュッセルドルフ中央駅はIATAの空港コードを取得している。ケルン中央駅はQKL、デュッセルドルフ中央駅はQDL、冗談抜きで世にも珍しい『飛行機のいない空港』である。

-れ-

【れいしきかんじょうせんとうき】[零式艦上戦闘機]
 日本の飛行機の代名詞…60年も前の飛行機が代名詞というのも情けない限りだが、自国の航空管制まで米軍に握られている国では致し方なかろう…。旧帝国海軍の艦上戦闘機。三菱重工が設計・製造を担当し、制式採用前は昭和12年(1937年)に試作されたので十二試艦戦と呼ばれた。海軍の要求性能に見合うな大出力エンジンがなく、そのため徹底した軽量化で運動性や航続距離などの要求性能を確保している。試作機は工場から飛行場まで、道路事情が悪かったため分解され牛車に積まれて運ばれたという何とも長閑なエピソードが有名である。
 制式採用は昭和15年(1940年)で、この年が皇紀2600年にあたるので『零式』である。1000馬力級の機体としては空前絶後の高性能機であり、軽量で運動性が良好だったため格闘戦には極めて優れ、何より長大な航続距離によって、他国に先駆けて現在では当たり前の『戦爆連合』を実現した。
 余談だが、米軍が戦爆連合を実現するのは硫黄島を占領した後のことであるし、英独両軍に至っては戦爆連合なんて夢物語に過ぎなかった。この点を見ても、いわゆる識者とかいう怪しげな人々が常々言う「日本人には独創性がない」とかいう発言は、全く根拠のない自虐的、あるいは何らかの意図を持った大嘘であることがわかる。
 話を戻し、零戦は中国戦線や太平洋緒戦において『ゼロファイター』(ゼロテスターではない)として恐れられ無敵を誇っていたが、軽量化最優先で耐弾性が極めて低いという日本機の伝統的欠陥は本機においても例外ではなく、連合軍の新型戦闘機の前に優秀な搭乗員を次々と失った点は本機を評価する上で無視するわけにはいかないだろう。
 幾度かの改良が行われているが、21型で既に限度一杯の性能に達しており、その後は改良による目立った成果はない。遅くとも昭和18年(1943年)初頭には後継機と主力を交代し第一線を退くべきであったが、手っ取り早く前戦に送れる戦闘機であったため交代時期を逸し、さらに空襲で生産拠点が真っ先に攻撃されたことなどから次期主力戦闘機の開発・生産も滞り、零戦は終戦に至るまで主力機であり続けなければならなかった。→十二試艦戦・零式戦闘機・零戦
・ゼロファイター

【レイト・ショウ】[late show]《S》
(1)夜遅くに上映される映画ではなく、late show passengerのこと。搭乗手続き締め切り時間後に搭乗手続きカウンターに現れた乗客。乗せてもらえるかどうかはケースバイケースである。小さな空港では融通を利かせてくれることもあるが、あてにしないように。
(2)空港への到着が遅れたために、指定便に搭載できなかった貨物。

【レインボーカラー】
 東亜国内航空(現在の日本エアシステム)の、暖色系を主とした4色で直線的なデザインのカラーリング。どちらかといえばレインボーと言うよりグラデーション風で、後に登場した777やMD-90のカラーリングに比べると、あまり虹らしくない。元々はエアバス・インダストリー社のハウスカラー。東亜国内航空に売ってしまったので、以後、エアバス・インダストリー社のハウスカラーは『しっぽだけレインボーカラー』である。買う方も売る方もどっちもどっちだが「デザインごと売ってくれ」と言われたエアバスの担当者は、どんな顔してたんだろ…。まあそれにしても、A300だけならいいが、DC-10にまでレインボーカラー…ってのは、買ったモノだから御自由に、とはいえ、如何なものかと思うぞ。

【レインボーシート】
 日本エアシステムのボーイング777に設定されていた、レギュラーシート(エコノミークラス)よりちょいと広い座席。運賃にレインボーシート料金千円を加算していた。真っ先にここから埋まってゆく人気商品だった。JALとの経営統合で一旦終了したが(座席自体は残っていて、ちょっとお得なエコノミーだった)2004年6月に、Class Jの名で復活することが決定している。追加料金もレインボーシートと同じ千円。日本エアシステムが遺した優れた遺産。いいものはいいんです。リクライニング角を小さくして、後席への圧迫感を緩和しましたとか、臆面もなく抜かしてるあたりは編者の大嫌いな日航らしいけどね。

【レーダー】[RADAR]
 RAdio Detection And Rangingの略。マイクロ波と呼ばれる1000MHz以上の電波を放射して、目標物に当たって戻ってきた反射波を受信することで、電波の往復する時間から目標物までの距離を割り出し、アンテナの指向特性から目標物の方角を知るもの。船のマストでくるくる回っているアレだが、くるくる回っているものだけがレーダーではない。送信アンテナと受信アンテナが別々で、電波を連続して照射するものをバイスタティック・レーダーと呼び、1930年代のレーダーは殆どこれだった。送受信アンテナを一体化し、電波がパルス(ごく短い周期の間欠)で発信される、いわゆるくるくる回るタイプのレーダーはモノスタティック・レーダーと呼ばれる。現在のレーダーは、よほど特殊な用途(どんな用途だ?)でもない限りモノスタティック・レーダーである。レーダーアンテナが回転の他に上下動したり、電波の位相を上下に振ったりして、目標の方位、距離のほか高度も測定できるものを三次元レーダーと呼ぶ。平面上に超小型のアンテナ素子をいくつも並べ、素子ひとつひとつの電波を発信するタイミングを僅かずつずらして電波の位相を傾け、アンテナを回転させたのと同じ働きをさせるのが、イージス艦の艦橋に貼り付いている八角形の板、フェイズド・アレイ・レーダーである。移動するものに当たると電波の周波数が変化する性質(ドップラー効果)を利用し、移動するものだけを見つけだしたり、移動速度を計測することができるのがドップラー・レーダー。速度違反取り締まりのレーダーや、プロ野球中継でおなじみのスピードガンもドップラー・レーダーである。集中豪雨をもたらす活発な雨雲を見つけることができるのも、ドップラー・レーダーのおかげである。
 古くは電波探信儀(電探)とも呼ばれたが「大日本帝国軍人は電探などに頼らずとも敵を捕捉できる!」と豪語して…実はまともなレーダーがなかったのはご承知のとおり。諸外国でレーダーアンテナに使われ、現在ではテレビアンテナでおなじみの『八木アンテナ』は、1925年に東北帝国大学教授八木秀次博士が考案したもので、アメリカでは八木博士の論文が発表されると同時にこの論文に着目、同じ年に八木アンテナの先鋭な指向性を利用して電離層の高度を計測する実験や、電波高度計の実用化に成功し、レーダー実現への第一歩を踏み出している。当時の日本軍上層部は誰も八木アンテナの可能性に気づかず、1935年にはアメリカのメーカーから海軍艦政本部にレーダーの売り込みがあったのだが、海軍は門前払いしている。その日本も対米開戦直前の1941年にようやくアメリカ製レーダーのデッドコピーを製作し、開発に着手したものの、1942年にマニラで接収した米軍のレーダーアンテナに八木博士のパテントが刻んであって、大いに慌てたらしい。…だめだこりゃ。次いってみよう。

【れつせん】[列線]
 武装の搭載、エンジンの始動、各部の動作確認などを行う、格納庫前の広場のような場所。民間機で言うならエプロンとかランプと呼ばれる場所に相当する。ここに機体をずらりと並べ、出撃の準備をする。このときに敵機が襲来して爆弾を落としてゆくと、パールハーバーの再現である。よって掩体運用の部隊では、普通は掩体の中でこれらを行なってしまう。
 航空祭では観客席となり、展示機が並ぶおなじみの場所。三沢基地の列線は全長2kmにも及び、ここに在日・在韓米四軍機と陸海空自衛隊機がびっしりと並ぶため、36枚撮りフィルム一本では地上展示機を撮りきれないという事態が生じる。フィルムやデジカメの記録メディアは、持てるだけ持ってゆこう。浜松基地では東西に伸びる滑走路の北側にあるため、列線エリアからは終日逆光となってしまう。飛行展示の撮影は基地南側の航空自衛隊浜松広報館周辺、またはRunway09エンド南側の臨時駐車場がお勧めである。

【レッドアイ】[red eye]《S》
 ロシア偵察機のNATOコードネームではなく、夜行便のこと。しかも23時以降に出発して、目的地には翌日早朝の到着となる便。みんな赤い目をしてあくびをしながら降りてくるのでこう呼ばれる。

【レトロフィット】
後付改造。航空機は高価なので最低でも20年ぐらいは使おうとする。使っているうちに新鋭機と比べて設備面で見劣りがしたり(民間機)新鋭機と一緒に作戦行動がとりづらくなったり(軍用機)するので、改造できるところは改造して新鋭機になるべく揃えてやろうということになる。改造と言うとちょっと聞こえが悪いので、レトロフィットという言葉を使う。航空業界はイメージが大事なのである。

【レフューラ】
 航空機に燃料を補給するためのタンクローリ。空港で見かけるホースリールを背負ったタンクローリのこと。送油ポンプ、ホース、流量計、フィルタなど給油作業に必要な機材を装備している。大型機用では作業用リフトも備えている。一般のタンクローリは、消防法上は『移動タンク貯蔵所』として扱われるが、レフューラは消防法上『航空機給油取扱所』の『給油タンク車』として扱われ、ガソリンスタンドと同等の扱いとなる。レフューラからタンクとポンプを除いたものが『サービサ』と呼ばれる、エプロンエリアに張り巡らされた送油管から機体の燃料タンクに燃料を送る給油ホース車である。
 危険物取扱者の試験教本などには「石油類は、電気の不良導体であり、流動や攪拌によって静電気が発生しやすい。特に、レフューラによる給油は何度もタンクを移すため、燃料に静電気が溜まりやすく、また、空気に触れる機会も多くなるため発火の危険性が高くなる。このため、燃料の流量が大幅に制限される…つまり、レフューラによる給油は時間が長引くという欠点がある…」と書かれているが、実際のところ静電気はある程度時間が経過すると消散してしまい、搭載作業前にはほぼなくなっていると考えられているし、燃料の移載についても、空気になるべく触れないよう構造が考慮されているので、殆ど問題はない。レフューラからの給油に時間がかかるのは、レフューラのポンプ能力、ホースの径、そして圧損が主な理由である。
 沖縄のとある島で、真夜中のさとうきび畑を港までゴトゴトと、航空燃料を取りに行くレフューラを見かけた時は驚いたの何のって。てゆーか、目撃者(編者)は真夜中のさとうきび畑で何してたんだ…?

-ろ-

【ローゼンジ】
 第一次大戦中のドイツ機の迷彩。細かな六角形や五角形で色分けされたプリント柄の羽布で、赤や黄色など原色系のかなり目立つ色も使われているが、これはさまざまな色を使うことで、遠目にはグレーに見えるだろうという、印刷物の網点と同じ理屈による。それなら手っ取り早くグレーでも塗っておけばよかったんだろうに、なんでこんなややこしいことをしたのか、ドイツ人の考えることはよくわからない…。プリント柄だからできるのであって、塗装で表現するのはかなり大変。最近はローゼンジデカールなんてのもあるが、モデラー泣かせである。

【ロータリーエンジン】
(1)東洋工業(マツダ)が実用化したヴァンケル型ロータリーエンジン。繭型のハウジングの中でおむすび型のローターが回転する。ローターで仕切られた状態で、ハウジング内の各ポジションを回転移動しながら吸入、圧縮、爆発、排出の各行程を行うエンジン。一般にロータリーエンジンと言えばこれのことである。往復運動がないためレシプロエンジンではない。世界でもマツダ車にしか搭載されていないため、量産された航空機での採用例はないし、自作機に搭載されたという話も聞かない。
(2)ごく初期に作られた星形エンジンで、シリンダーの冷却を均等に行うためにエンジン自体がクランクシャフトを中心に回転するようにしたもの。殆ど意味がない代物だったのですぐに消えてしまった。航空用語でロータリーエンジンと言えばこちらのこと。
(3)星形エンジンのこと。初期の星形エンジンが、シリンダーの冷却を均等に行うためにエンジン自体がクランクシャフトを中心に回転するようになっていて、ロータリーエンジンと呼ばれていたため、そのまま呼び名が残ったものと思われる。

【ロービジ】
 ロー・ビジビリティ(Low Visibirity)の略。→ロー・ビジビリティ

【ロー・ビジビリティ】[Low Visibirity]
 低視認性と訳される。グレーの機体に、それよりやや濃いグレーで国籍標識や所属表記、コーションデータ(注意書き)などのマーキングが書かれた機体塗色のことで、迷彩の一種。人目を引きやすい原色や蛍光色、光を反射するつやのある塗装、大きな明度差などを避ける。1980年代前半にアメリカ海軍から始まり、空軍がそれに倣い、その後全世界に広まってゆく。初期のロービジはライトグレーの機体に黒の書き文字とか、危険箇所や注意箇所の表示に赤や黄色のマーキングが残っていたりしたが、昨今ではごく僅かな明度差のグレーでマーキングされ、しかもかなり小さめに書かれている。明度差が低いので、オートフォーカスでさえ騙されてピンボケ写真を連発する上、出来上がった写真も立体感に乏しく、何とも印象の薄い、カメラマン泣かせの塗装である。

【ローリング】
 横揺れ。機体の前後方向を軸として機体が左右に傾くような揺れ方。

【ローリングしないコンバットピッチ】
 ブルーインパルスJrの締めくくりの演目。エシュロン(斜め一列の隊形)で進入し、一機…もとい、一台ずつ旋回し、トレイル(縦一列の隊形)に移る。ブルーインパルスJrは地上走行で演技を行うので『ローリングしたくてもできないコンバットピッチ』である。…これって航空用語か?

【ロール】[roll]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
(1)機体の前後方向を軸として機体が回転しようとする動き。この動きの中心をロール軸と言い、前向きに座っているときに、左右に傾くような動きをローリング(rolling)または横揺れと言う。
(2)機体の前後方向の軸を中心とした回転を行う曲技飛行の一種。『エルロンロール』とも呼ばれる。胴体を軸にしてプロペラのようにくるくる回る飛び方だ。操縦桿を横に倒すと一方のエルロンが上へ上がり、一方は下へ下がるため、左右の主翼が生みだしていた揚力のバランスが崩れ、機体は傾きはじめる。そのまま放っておけば機体はくるっと回転してくれるが、曲技飛行用に作られた航空機でしかやってはいけない。 ロールで一回転する間に、45°ずつ8回ロールを止める演技は『エイト・ポイント・ロール』90°ずつ4回ロールを止める演技は『フォー・ポイント・ロール』10秒以上かけて一回転するロールを『スローロール』と言う。 バレルロールというのもあるが、これは機体そのもので水平方向に螺旋を描くような飛行なので、一般的なロール(曲技飛行のどこが一般的なのかはさておき)とは別物であると考えた方がいい。

【ローンチ】[launch]
 最近航空雑誌でやたらと目に付く『ローンチ』は、物事を始めるという意味。ミサイルの発射も艦載機の発進もローンチである。また旅客機の設計着手前に航空会社への概略説明を開始して市場の反応を探る『コマーシャル・ローンチ』詳細設計の着手や、先行調達部品の調達先の決定を開始する『インダストリアル・ローンチ』などもある。『航空会社への概略説明を開始』『設計を開始』『部品調達を開始』『製造を開始』では何故いけないのか大いに疑問だ。却ってわかりにくい文章になってしまうので本解説文以外、本書では使用していない。航空雑誌で単に『ローンチした』と記されている場合はインダストリアル・ローンチを指すようで、『航空会社へのローンチを開始した』と記されている場合はコマーシャル・ローンチのことを指すようだ…どうでもいいが『ローンチを開始』ってどういう意味だ?カッコつけて横文字の専門用語を使っていても、これじゃ台無しだぞ。そこの航空評論家君。
 『ローンチ・カスタマー』は、その機体を設計前段階である程度まとまった数を発注したユーザーのこと。まとまった数の注文が入ったおかげで、メーカーは安心して新型機の開発に着手できる。機体の仕様はローンチ・カスタマー様のご意見で決まるのが最近の旅客機。昔は『キックオフ・カスタマー』と呼んでいたが
『キックオフ・カスタマー』とは、一番最初に買ったお客さん、程度の意味であるから、設計に口を挟む(航空会社は設計に参加したと称する)ローンチ・カスタマーとはかなり意味が違う。
 余談だが、ミサイルの発射機、ランチャーはLauncherと綴る。つまりLaunch(ローンチ)するもの、である。んで片やローンチで片やランチャーってのはどうしてなんだろ?

【ローンチャ】[launcher]
(1)ミサイルやロケット弾の発射器。普通はランチャーと発音するけど、ローンチャと発音するのが正しいらしい。
(2)宇宙関連でローンチャと言えば、衛星や探査機などの、いわゆるペイロードを予定の軌道に投入するための運搬手段。一般的にはロケットと呼ばれているヤツである。固体燃料を使用して無誘導で発射される小型のロケットは、ランチャーを使用して発射されるので「ローンチャ(ロケット)がローンチャ(ランチャー)からローンチ(発射)された」…って訳のわからないことになる。

【ローVHF】[Low VHF]《F》
 VHF(超短波)のうち30〜60MHzの周波数帯の電波を、無線交信の傍受をしているファンはこう呼んでいる。AMラジオ放送とFMラジオ放送の間あたりの周波数になる。西側諸国では陸軍部隊の野戦通信に用いられている。周波数が低いため波長が長く、これに合わせてアンテナの長さも2〜3mと非常に長くなる。自衛隊のジープが異様に長いアンテナを立てているのはこのため。使用している周波数は原則非公開で、頻繁に変更されているため傍受はちょっと難しい。戦闘ヘリなどの陸軍機のほか、空軍の対地攻撃機や空挺部隊を輸送する輸送機にもローVHF通信機が搭載されている場合がある。長いアンテナは垂直尾翼などに内蔵しているようだ。

【ロケットエンジン】
 液体式ロケットの燃焼室部分(エンジン本体)を指す。固体式ロケットの場合はロケットモーターと言う。

【ロケットモーター】
 固体式ロケットのこと。ロケットエンジンとは液体式ロケットの燃焼室部分(エンジン本体)のことを言い、固体式ロケットは含まれない。固体式ロケットを液体式ロケットよりランク下に位置づけているのでこういう言い方をする。何しろ一旦火がついたら出力制御どころか、固体燃料が尽きるまで燃え続け、途中で火を消す手段がない、っていうとんでもないシロモノだ。しかも600年以上の歴史を誇る人類最初の飛行物体だ。
 …でそのランク下のロケットのトラブルで打ち上げに失敗してるってんだから…。→固体ロケット

【ロストバゲージ】
 航空会社が乗客から預かった手荷物の紛失。そう滅多に起こることではない。パリで手荷物を受け取ろうとしたら荷物がなく、調べてもらったら何とニューヨークで見つかったとか、後続便で追い駆けていますなんてのはいいほうで、モスクワの闇市で商品になったなんて場合は絶対に出てこない。積載時や積み替え時の混乱とか、寄航地での盗難とか、他の乗客による取り違えとか原因はいろいろある。貴重品は必ず身につけておきましょう。海外旅行歴を披瀝して、使用済みの手荷物タグをぶら下げている人がいるが、あれは手荷物仕分け作業の混乱の元。 さらにヒースローでは、荷物は届いたけれど、中身が抜かれていたなんてこともあるから油断ならない…空港の保安区域に泥棒がいるようじゃ、航空保安なんて絵に描いた餅である。

【ロッキードじけん】[ロッキード事件]
 1976年2月、米上院外交委員会多国籍企業小委員会公聴会議長、チャーチ上院議員の元に誤って配達されたロッキード社の不正工作を記した資料から発覚した、全日空の新機種導入に絡む政界汚職事件。公聴会でのロッキード社副社長コーチャンの証言では、ロッキード社がL1011トライスターの全日空への売込みをめぐって、約26億円にものぼる対日工作資金を日本政府高官らにばらまいていたとされている。賄賂を意味する隠語、ピーナッツは、事件関係者の国会証言「記憶にございません」の名台詞と共に流行語にもなった。トライスターはロールスロイス社のRB211エンジン開発の遅れ(三軸式圧縮という凝った設計のエンジンだった)から、ライバルであるダグラスDC-10に大きく水をあけられていたため、形勢の逆転を図るべく政界工作を行ったとされている。事件が発覚する4年前の1972年に、全日空はダクラスDC-10を突如キャンセルして、トライスターの導入を決定しており、このことも疑いを濃厚にした。このとき全日空がキャンセルしたDC-10がトルコ航空に回って、のちにパリ郊外で貨物室ドアの欠陥から墜落したってのは別の話なので、それはさておき…。
 公聴会でのコーチャン証言を受けて東京地検は刑事事件として捜査を開始し、ロッキード社から丸紅を経て田中首相に5億円が流れた丸紅ルート、全日空から政界へばらまかれた全日空ルート、ロッキード社から児玉誉士夫を経由して小佐野賢治(国際興業社主)へ流れた児玉ルートの3ルートが明らかになった。東京地検は同年7月27日に田中角栄元首相を受託収賄罪と外国為替管理法違反容疑で逮捕している。東京地裁は83年10月、田中元首相に懲役4年、追徴金5億円の有罪実刑判決を言い渡した。田中元首相は控訴したが、東京高裁は87年7月、一審判決を支持し控訴を棄却。田中元首相は最高裁に上告したが、85年2月、田中元首相が脳梗塞で倒れ、93年12月16日、甲状腺亢進症と肺炎を併発し、最高裁判決を受けることなく死去した。最高裁は本件について、本人死亡を理由として公訴棄却を言い渡し、ロッキード事件は終結した。逮捕者は田中元首相のほかにも丸紅、全日空関係者、元運輸大臣など15人に上る一大政界スキャンダルであった。試験に出る一般常識としてのロッキード事件とは、こういうストーリーである。
 不思議なことに、事件発覚当初、海上自衛隊次期対潜哨戒機(PXL)国産化計画を撤回して、ロッキードP-3Cオライオン対潜哨戒機を導入した一件についても疑惑が取り沙汰されたのだが、こちらはいつの間にか沙汰止みになってしまった。当時、P-3C導入に絡む汚職事件こそロッキード事件の本命と報じたマスコミ関係者は、検察庁のお叱りを受けたのだそうな。なぜだろうね。航空機導入に纏わる政界疑惑ってのは、例外なく軍用機が絡んでいるものなんだけど、こちらの捜査は殆どしていないってのは、何なんだろうね。そういえば、飛行機を買うお客さんだった全日空は、どうしてトライスターを買うにあたって政界に金をばらまかなきゃならなかったのか、これまたよくわからない話だ。チャーチ上院議員に誤って配達された郵便物といい、胡散臭い点が山ほどあるから、事件の真相は原発を推進していた田中元首相を貶めるために石油メジャーが仕組んだ陰謀だとか、いろいろ言われちまうのである。まあ、きっとそうなんだろうな。嘘も百回言えば真実になる、の見本のような話である。

【ロック】[Rock]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 ロック岩崎。ロックとは、自衛隊パイロット当時のTACネームである。航空学生26期。F86Fセイバー、F104J、F-15Jとファイター・パイロットとしてのキャリアを重ね、204飛行隊、305飛行隊(百里基地)を統括する飛行運用班長を経て、退官後アメリカに渡り、エア・ショーパイロットの道に進むべくショーン・タッカーに師事。1996年より日本初の民間アエロバティックチーム『AirRock』を率い、各地の航空イベントで愛機ピッツ・スペシャルを駆って華麗な演技を披露している。華麗なるヒコーキ野郎である。

【ロングノーズ】
 ラジオペンチのこと。んじゃ普通のペンチはショートノーズ、なのかな?

【ロングフライトけっせんしょう】[ロングフライト血栓症]
 エコノミークラス症候群とか、深部静脈血栓症とか、旅行血栓症とか、いろいろな立場の人がそれぞれのご都合でいろいろな名前を付けている、そうしたもののひとつ。そろそろいい加減にしてくれ…。→深部静脈血栓症

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