-た-

【ターニング・パッド】
 滑走路に平行する誘導路がない飛行場で、方向転換を行う場所。滑走路末端の広くなった部分で、小規模な飛行場に多い。昔の広島空港(現在の広島西飛行場)にも誘導路がなく、巨大なB767がターニングパッドで方向転換をしていたっけ。あれは珍妙な光景だった…。

【ターボコンパウンドエンジン】
 ターボチャージャのタービン軸から、ギヤボックスを介してクランク軸に動力を送ってエンジンの補助にしてやれば、効率のいいレシプロエンジンができるのではないか、と考えて果敢に挑んだ代物。んなややこしいもんをよく作ったものだ。故障の巣になったのはご想像の通り。
  ダグラスDC-7B・C型に装備されていて、日航はこれで相当泣かされた。

【だいいっしゅひこうじょうよほう】[第一種飛行場予報]
 簡単に言ってしまえば空港の天気予報のひとつ。第一種は通常18〜24時間の予報で国際的に交換される。国際定期便が運行される空港が発行し、発行回数は空港の運用状況によって異なるが、大規模な空港で3時、9時、15時、21時の一日4回、比較的小規模の空港で一日2回発行される。国際規約に則り、数字と略号で記述されるため素人目にはほとんど暗号である。
 たとえば、東京(羽田)国際空港グリニッジ標準時15日0時〜翌16日0時までの予報が、西北西の風12ノット、卓越視程10km以上、雲量3/8〜4/8、雲底3000フィート、0時〜2時に時折西北西の風15ノット、突風26ノットという場合の予報電文はこのようになる。…RJTT 150024 300/12KT 9999 SCT030 TEMPO 0002 31015G26KT…もう何がなんだかさっぱりわからん。→TAF・TAF-L

【たいくうせんしゃ】[対空戦車]
 大砲の代わりに対空機関砲を装備した戦車。対空自走砲とか自走対空砲と言う場合もある。地上部隊を敵機による爆撃などから守るためのもの。東部戦線でお互いシュツルモビクとかスツーカとかの対地攻撃機に散々痛い目に遭わされたドイツ軍とロシア軍は、三つ子の魂何とやらで現在でも対空戦車にかなり力を入れているが、対して米軍は味方空軍力によるエアカバーが圧倒的ならば、敵機による攻撃を受けることはないという考えから対空戦車にあまり積極的ではないようだ。それどころか米陸軍が装備している対空兵器は、外国に売る商品見本ぐらいにしか見られていないようだ。陸続きで常に外敵の脅威にさらされていると感じる国と、大洋に囲まれて外敵の脅威を殆ど感じない国との差、なのだろうね。

【たいけんこうぞう】[大圏構造]
 金属製の骨組みを網目に組み、上から羽布を貼った、まさに張りぼてのような構造の機体…飛行機ってのは、みんな張りぼてみたいなもんだが…。もともとは飛行船の骨組みとして考案されたものらしい。作るのは非常にめんどくさそうだが、英空軍のヴィッカース・ウェリントン爆撃機はこの大圏構造で生産機数1万機を越え、1944年頃まで英空軍の主力爆撃機だった。なんたって同時期、同程度の大きさの爆撃機アームストロング・ホイットワース・ホイットレーよりも250kgの軽量化に成功してるって、たったそれだけかい!だいたい爆弾じゃなくて夜な夜な宣伝ビラ蒔いてたホイットレーに勝ったってあんまり自慢になんないぞ。まったく、英空軍ってのは変な爆撃機の詰め合わせ福袋みたいである。…って、どこに福があるんだ?

【たいけんこうろ】[大圏航路]
 中学の地理で『だいけんこうろ』と教わった記憶があるんだけど、『たいけんこうろ』なんだねぇ…。地球上にある2点間の最短距離となる線。地球を2等分した断面の円(大円)の一部(弧)である。心射図法の地図上では直線となるが、メルカトル図法の地図では極方向に引かれた弧を描き、赤道を越える場合はS字カーブになる(赤道や経線上にコースを取る場合は直線になる)
 だから機内誌の路線図が曲がっているからといって、飛行機が何もない海の上を遠回りをしているというわけではない。
 メルカトル図法の地図上2点間に直線を引いた場合は『対角航路』といい、赤道上や経線上にコースを取る場合以外は遠回りになる。

【だいこん】[大根]《F》
 キヤノンの大口径超望遠レンズ。でかくて太くて色が白いので大根である。ふん!悪かったね。ニコンの大口径超望遠レンズは煙突と呼ばれる。

【だいこんおろし】[大根おろし]《F》
 プラモデルのリベット表現が凸モールドで、しかもおろし金に使えそうなくらいざらざらな状態。マスキング失敗の原因にもなる。鉄道模型じゃないんだから…。

【だいさんしゅひこうじょうよほう】[第三種飛行場予報]
 簡単に言ってしまえば空港の天気予報のひとつ。第三種は気象現況に対する変化傾向を国際的な規約に基づいて略号を用いて発行される。着陸予報とも呼ばれ、到着する国際線航空機を主に対象としている。予報の期間は2時間で、30分ごとに発行され、日本では新東京国際空港、関西国際空港が第三種飛行場予報を発行している。第三種飛行場予報が発行される空港では、第二種飛行場予報は発行されない。→着陸予報・TREND

【だいたいねんりょう】[代替燃料][Alternate fuel]
 目的の飛行場に降りられない場合に、目的地飛行場から代替飛行場への着陸までに消費する燃料。ガソリンが足りないから松の根から採った油を使う…ってそれは『代用燃料』だ。

【ダイナステイ】
 『祝!成田就航』中華航空のこと。無線のコールサインで使われる。

【だいにしゅひこうじょうよほう】[第二種飛行場予報]
 簡単に言ってしまえば空港の天気予報のひとつ。第二種は国内や近隣諸国との国際線で用いられることを目的とした予報で、予報官が配置されている空港から発行される。形式は第一種飛行場予報と同じで予報は短く頻繁に発行され、多くの場合6〜9時間予報がおおむね3〜4時間ごとに発行される。第二種飛行場予報が発行される空港では、第三種飛行場予報は発行されない。→TAF-S

【ダイバート】[Divert]
 目的地の空港に着陸できずに、他の空港に降りること。運の悪いNY市警の刑事が一人でテロリストと対決しているので…という場合ばかりでなく、気象上の理由とか、空港運用時間に間に合わない場合などがある。成田でコンチネンタルやノースウェストがタイヤをバーストさせて滑走路が閉鎖され羽田にダイバート(却ってこっちのほうが便利かも?)とか、伊丹の運用終了時刻に間に合わず関西空港にダイバートとかは、まあよくある話で土産話にもならない。
 沖縄線の場合、那覇空港が使用できない場合のダイバート先はなんと米軍嘉手納基地。燃料に余裕がないので鹿児島には戻れない。基地内で乗客を降ろすわけにもいかないので、那覇から嘉手納へディスパッチャーが出向いて行ってフライトプランを作成し、燃料を米軍から買って那覇空港が再開されるまで機内で待機という悲惨な事態になり、土産話で自慢できる。さて、不幸にして那覇も嘉手納も使えないような事態に陥ったら土産話どころか…だ、だいじょうぶ、きっとなんとかなる…。

【タイプチェンジ】[Type change]
 シップチェンジの一種だが、使用する予定の飛行機とは別形式の飛行機を充てること。定員や座席配置が変わるだけでなく、乗務員の資格や、グランドハンドリング機器の違い、搭載できるコンテナの制約などからシップチェンジとは分け、各セクションに徹底を図る必要がある。一般の我々が気づくシップチェンジとは概ねこちらのこと。747SRを使用する予定の便に、同じ747でもLRや-400などを充てる場合もタイプチェンジである。基本的には、変更前の機種と同等もしくはそれより大型の機材を充てるのが普通だが、フィリピン航空の東京行き432便は、747のタイプチェンジにA330とA320とか、A340と737といったセットが充てられる。コスト増も相当なものだと思うが、747の数に余裕がない上にこの路線の需要が多いための苦肉の策だそうな。

【たいめんホバリング】[対面ホバリング]
 ラジコンヘリと向かい合った状態で行うホバリング。ラジコンヘリを操縦する上で基本となるテクニックで、地味だがこれができないと初心者卒業は覚束ない。前後左右が逆になるので普通のホバリングとはかなり勝手が違い、姿勢制御はかなり難しい。慣れていないと後退させようとしてもヘリがどんどん寄ってきて怖い怖い。ホバリングどころか追いかけてくるヘリから逃げ回るというマンガみたいな事態になる。プロポを裏返しに持てば簡単だと曰った御仁がいたが…。

【だいよんしゅしょうかせつび】[第四種消火設備]
 飛行機のそばに置いてある、車輪の付いた巨大な消火器のこと。『大型消火器』という、見た目そのまんまの名前。消防法上の区分である。ちなみに第一種は消火栓、第二種はスプリンクラー、第三種はハロンガスや炭酸ガスを使用する固定式消火設備、第五種はおなじみの小型消火器のことである。

【だいよんしゅひこうじょうよほう】[第四種飛行場予報]
 簡単に言ってしまえば…これだけは第一〜第三種飛行場予報のような『暗号電文』の如き代物ではなく、平文形式で音声放送される飛行場予報…とは言っても英語の放送だ。VOLMET(ボルメット)とも呼ばれ、9時間先までの国際線指定空港の予報である。日本では新東京国際空港と関西国際空港について予報が作成され、Tokyo VOLMETから国内主要空港の観測報告と共に毎時2回、定時に放送される。
 ちなみに、沖縄の気象情報は、Tokyo VOLMETの放送後に引き続き行われるHongKong VOLMETの放送の中で扱う。→VOLMET

【タウロン】
 東亜航空(東亜国内航空を経て現在の日本エアシステム)が、デハビラントDH114ヘロンのデハビランド・ジプシークイーン(250hp)エンジンをコンチネンタルIO-470(260hp)に換装して仕立て上げた(でっち上げた。とも言う)「ファイト一発(双発だが…)!」なオリジナルスペシャルモデル。整備性の向上と延命がその理由。登録名称もDH-114TAWに変わった。昔の航空局の方がよっぽど頭が柔らかかったみたいだな。今ではFAA(連邦航空局)の承認を受けた純正の改良新製品に換装するってだけでも難癖を付けてきて大騒ぎだ。牡蠣にたっぷり含まれてドリンク剤でもおなじみのタウリンではない。

【ダウンウオッシュ】
 ヘリコプターのローターが起こす、吹き下ろしの強風。MH-53の巻き起こすダウンウオッシュになると小石が飛んでくるわ、飲みかけの缶ビールが泡噴きながら横っ飛びするわ、ベビーカーが宙に舞うわ、テントがバタついて怪我人出すわって、そりゃもう大騒ぎになって、全国ニュースのネタになっちゃう。…ってのは2004年5月5日の岩国基地での話である。もっとも、ダウンウオッシュによる地面効果を利用して、ホバリング限界高度を超える山岳地帯でもホバリングを行うことができるわけだから、そうそう悪者にもできない。

【タオルかけ】[タオル掛け]《F》
 HF(短波)無線アンテナのこと。数本のステーにアンテナが渡してあり、まさに洗面所のタオル掛け。救難機などによく見られる。

【たかゆうばる】[高遊原]
 高遊原と書いてたかゆうばると読む。西部方面航空隊の司令部が置かれている陸上自衛隊高遊原分屯地のこと。所在地はというとこれが熊本空港の中なのである。最初からそう言えよ…。昔は健軍にあったのだが、空港と一緒にここへ移ってきた。熊本空港は阿蘇の外輪山を背景にした風光明媚な撮影地が数多くあることで有名。高遊原分屯地の基地祭では阿蘇の外輪山や民間機と絡めた写真を撮ることができ、展示機の地味さを補って余りあると言っていい。お勧めである。

【たからさがし】[宝探し]《S》
 さあこのネジを締めたら今日の作業は終わり…ってときに、そのネジを落としてしまう、とか、作業終わって工具を点検したらヘキサゴンレンチが一本ない!ってのはよくある話。機内に残してしまうと配線をショートさせたり可動部に食ったりする虞があるのでそのままにはできない。全員懐中電灯を持ち集合っ!みんな総出で宝探しの始まりである。整備作業で最も疲れるのがこの宝探し。探しても探しても見つからないと思ったら、ネジは靴の裏の溝に食い込んでいたとか、ヘキサゴンレンチは作業服のポケットに入れたのを忘れてたなんてのも、これまたよくある話。

【タカン】[TACAN]
 →TACAN

【タグ】[Tag]
(1)飛行機を移動させるトラクター、つまりトーイングカーのこと。港でよく目にするタグボートも、タグと呼ぶ。海運関係の用語がそのまま使われているのは、航空用語ではよくあること。でっかい飛行機や船にぶら下がっているように見えるが、もちろん実際にぶら下がっているのは、タグの助けがないと身動きの取れない、でっかい飛行機や船のほうである。小型機だと、駅の荷物運びに使われるターレットカーを使うこともあるが、ターレットカーは自重が軽く、路面が濡れているとスリップしてしまってなかなか牽き出せないこともある。
(2)バゲージ・タグ。乗客から預かった手荷物に取り付ける荷札。以前は紙製の札を紐で下げていたが、現在では行き先や搭載便名などが印刷されたテープが使われている。
(3)ネーム・タグ。空港で働く人は、氏名、所属、立ち入ることのできる区域などが明示された顔写真入りのタグを下げている。空港内の保安区域に入る際の通行証である。

【タクシーとう】[タクシー灯][taxi light]
 飛行機が地上走行時に使う、やや広い角度の光束で地上を照らすための前照灯。タキシー灯、タキシング灯とも言う。タクシーの屋根に付いているぼんぼりではない。

【たくはつ】[托鉢]《F》
 マイレージサービスのマイルを稼ぐ『修行』のひとつ。マイレージサービスに提携している飲食店などで少しずつマイルを貯めることを言う。少しずつ、行を積むことが、高い徳を積む礎となるのです。ありがたや、ありがたや…。

【タコー】[TACCOまたはTACO]
 『タコ』ではなく『タコー』と伸ばす。なぜなら『タコ』では勤まらないから。…と、冗談はさておき、TACtical COordinatorの略で、戦術航空士のこと。防衛庁が発行しているパンフレットなど、一部ではTActical COordinatorの略でTACOとしている場合もある。日本とアメリカで略語が異なるのだろうか?戦術飛行時のコーディネータとしての役割を担い、クルーを率いて索敵、攻撃、偵察、捜索などの指揮を執る。対潜哨戒機ではパイロットかタコーの、どちらか階級が上位の者が機長となる。

【たじくあっしゅくき】[多軸圧縮機]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 ジェットエンジンのコンプレッサとタービンの組み合わせが一組だけだと所定の圧縮を確保できない場合に、高圧コンプレッサと高圧タービン、低圧コンプレッサと低圧タービンといった二組以上の組み合わせにして圧縮を確保する。低圧コンプレッサと低圧タービンは、高圧コンプレッサと高圧タービンよりそれぞれ外側にあるため、高圧コンプレッサと高圧タービンを結んでいるシャフトはパイプ状にして、その中に低圧コンプレッサと低圧タービンを結ぶシャフトを通す。コンプレッサとタービンを結ぶシャフトが2本なので二軸式と呼ぶ。ロールス・ロイスのRB211やトレントの場合は、コンプレッサとタービンの組み合わせが低圧、中圧、高圧の三組で、三軸式と呼ばれる。三軸式は二軸式より静粛性などに優れるが、複雑であるため初の量産エンジンRB211の開発には相当な苦労が伴い、同エンジンを搭載する予定だったロッキードL1011トライスターのセールスにも悪影響が及んでしまった。なお、それぞれのシャフトの回転数は、高圧側は速く低圧側は遅く、それぞれ異なる。

【たちばな】
 日本航空の国際線用747に1970年代半ば頃設置していた個人客用エコノミークラス。後の『エグゼクティブクラス』への最初の一歩だが、どうもにぎやかな団体客と商用などで乗る個人客を分けただけで、シートも食事も全く同一だったようだ。

【タック・ネーム】[TAC name]
 パイロットの部隊内での愛称。映画の中で戦闘機パイロットが無線で呼び合う『アイスマン』だの『GOKU』だのがTACネーム。コールサインとして使われるものなので、重複を避け、本人の希望も多少は聞き入れられるが、映画『TOP GUN』でおなじみの『マーベリック』が認可されることはない。だいたいの場合部隊長によって「岩○君、君のタックネームはロックで決まりだ」とか「猿に似てるからGOKUだ」などと安直に決定される。七曲署の刑事みたいだ…。余りに長ったらしいものは宜しくないとされ、アルファベット3〜4文字程度が理想とも言われるくらいである。故に『ロサ・キネンシス』ぐらいならまあいいとしても、『ロサ・キネンシス・アン・ブウトン』とか『ロサ・キネンシス・アン・ブウトン・プウティ・スール』なんて長すぎるタック・ネームは、如何なものかと思いますわ。お姉さま…。

【だっさくき】[駄っ作機]《F》
 刈り取った稲を籾と藁に分ける機械…それは脱穀機。傑作機の対語、要するに『駄作』岡部いさく氏の造語である。開発に手間取り時代遅れになってもなお量産され、別の目的に流用したけど特性が合わず全く使い物にならなかったとか、あれこれ欲をかきすぎて虻蜂取らずになって、まともに飛ぶことすらできなかったとか、開発者が先進的すぎて当時の工業技術が追随できなかったり、かと思えば見るからに何を考えて設計したのか訳のわからない代物とか…昔はおもしろい飛行機が目白押しだったのだねぇ。こうした文字通り『血のにじむ』…どころでは済まない努力があって、今日の航空機があるのだが、乗せられる方はたまらない…。

【ダッシュ400】[-400]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 ボーイング747-400。他にもB737-400とか、B767-400というのもあるのだが、なぜか-400といえばB747-400のことである。最新型のB747であり、現在ボーイング社が製造する唯一のB747。日本政府専用機も-400だ。各種複合材など新素材を大幅に採用して軽量化し、計器盤にはCRTディスプレイを採用。コクピットクルー2名での運航を可能とした。-400全機種に共通する従来型(classic)との外見上の識別点は…これが殆どないと言っていい。2階席のこぶ(アッパーデッキ)が大きいのは-100からの改造機(SUDと呼ばれる)や-300も同じだし、貨物用の-400Fは-200以前の型と同じ小さいもの。翼端のウイングレットは-400のシンボルとも言えるが日本の国内線で使われている-400Dにはない(後付改造はできるのでウイングレット付き-400Dというのもある)その上ウイングレットではなくウイングチップを付けた-400Dまでいる。翼の根元にあるフェアリングの違いも、-300後期型にほぼ同じものを付けているのがいる…。実は主翼の長さが違うのだが、主翼が長いと言ってもあんなに巨大なものだとなかなかわかりにくいし、-400Dでは全幅で30cm、つまり片翼たったの15cmしか違わない。なお、アニメキャラの絵が描いてあったり「がんばれ日本代表選手」なんて書いてあったりするのは、ほとんど-400であるが、殆どと言うからには、やっぱり例外がある。実はなかなかの難物である。なお、遠目にはわかりにくい識別点として、翼端から後ろへ伸びるアンテナがあるのは-400以外の747、翼端にアンテナのないものが747-400、というのもある。さて、あなたが乗った-400、ほんとに-400?

【たてせき】[縦席]《S》
 立ち席ではない。一緒に旅行するグループの座席が隣り合わせの横並びではなく、縦の並びになってしまうこと。新婚旅行でこうなると悲惨。周囲に聞こえるようにねちねちと恨み言を並べ立てるけど、こういうときは周りもみんな新婚さんだから「誰にも譲りたくないもんね〜」「ね〜っ」大安の翌日を避けて新婚旅行に出発すればこうした悲劇(当事者以外は喜劇)はある程度回避できる。

【ダブラ】[doubler]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 開口部などの強度や剛性が不足する場所や、応力の集中する場所に、外板に重ね貼りした補強板。開口部の周りを取り囲むように貼り、骨組みの上に当たる部分は大きく張り出させる。
 また、外板に間隔を置いてダブラを配置しておくと、外板に生じたクラック(亀裂)をダブラの部分でくい止めることができる。これをクラックストッパと言う。

【ダブル・オープンジョー】
 →オープンジョー

【ダブルゼータ】[ZZ]《F》
 沖縄、嘉手納基地に駐留する米空軍第18航空団(18WG)所属機を表すZZというテイルコード、つまり垂直尾翼に書かれた略号。テレビアニメのZZ(ダブルゼータ)ガンダムが由来。「♪アニメじゃない!…」

【ダブル・ナッツ】[Double nuts]ボタン 解説画像を別ウィンドウで表示
 米海軍と海兵隊の、航空団司令指定機。団司令指定機はモデックスナンバー(飛行隊内の管理番号)の末尾二ケタを00とすることになっている。0をナット(ボルトとナットの、ナットである)になぞらえ、ダブルナッツである。飛行隊の中で最も派手な塗装を施している場合が多く、航空祭展示指定機なる異名もある。なお、飛行隊長指定機はモデックスナンバーの末尾二ケタが01となる。

【たまごひこうき】[たまご飛行機]
 マクダネルXF-85ゴブリン…ではなく、卵形にデフォルメされたハセガワの飛行機プラモデル。航空ファンにはあまり受けなかったが、後にキャラクターグッズなどのデザインに大きな影響を与えた。地方のオモチャ屋で時折見かけるけど、今でも生産しているのかねぇ…。

【ダミーシップ】
 
航空機の牽引やプッシュバックの訓練のために、実機同様の車輪間隔を持つトレーラー。上から見るとT字型に組んだ鉄骨に、車輪が付いている。訓練用なのでターミナル近辺をうろうろすることはなく、あまり見ることのない機材。

【タラップ】
 
飛行機への乗降をする際に使用する、荷台部分に階段を載せた車両のこと。正しくは『パッセンジャーステップ』と呼ばれる。本書では一般的な呼称である『タラップ』を使用している。

【タリホー】[Tallyho]
 「目視確認した」という意味。本来は狐狩りのときに猟犬をけしかける「ホー、ホー」というかけ声なのだそうである。『Tally』と略したり、『Tally Two(2)』など目視確認した機数を加える場合もある。 「♪ラリホーラリホーラリルレロ、コイルはでぶっちょぼよよよよん…」ではない。

【たんちょうづる】[丹頂鶴]
(1)学名:Grus japonensis、英名:Japanese Crane、分類:ツル目ツル科、アイヌ語でサルルンカムイ。翼長2.5mにも達する大形の鳥。特別天然記念物、国内希少野生動植物種。日航機の垂直尾翼に描かれている鳥である。
(2)1960年代に使われていた、クリーム色で小窓があり、屋根が赤い電話ボックス。
(3)1970年から1977年まで使用された日本航空スチュワーデスの制服。制帽のてっぺんが赤だったから。

【たんなるいどうしゅだん】[単なる移動手段]
 飛行機を利用した旅のこと。旅行作家と呼ばれる人々が判で押したように使う字数稼ぎ。曰く「飛行機は単なる移動手段であって、飛行機に旅情はない」と…。離陸から着陸まで目をつぶって念仏唱えていたのならそう思うのも無理はない。ご同情を申し上げる。

【たんフロート】[単フロート]
 フロート(浮舟)を一つだけ装着している水上機。フロートが一つだけでは転覆してしまうので、翼端近くに補助フロートを装着して、安定を確保している。

【だんめんせきほうそく】[断面積法則]
 →エリア・ルール

-ち-

【チェック・シックス】[Check six]
 機首方向を12時とした場合、6時の方向が真後ろになる。つまり後方の確認。飛行機は後方視界が余り宜しくないため、真後ろには大きな死角がある。敵機に真後ろに付かれるというのはすなわち死を意味することなので、後方確認はとても重要である。「志村〜っ!後ろっ!後ろっ!」ってやつだな。

【チタニウム】[Titanium]
 ジェットエンジンのコンプレッサやタービン、人工関節などの医療器具、宇宙船などに使われる金属素材。ごくまれに高級一眼レフカメラなどにも使われている。チタンとニッケルの合金が形状記憶合金と呼ばれるもので、携帯電話のアンテナやブラのワイヤーなどに使われている。酸化チタンの持つ強力な抗菌作用を応用したのが、東京大学と東陶機器の共同で開発されたハイドロテクトである。チタンが利用される分野は広がってきているが、生産されるチタン合金のおよそ70%は航空機材料として利用されている。元素記号はTi。比重4.51は鉄のおよそ60%。純チタンの状態での強度は炭素鋼と同等でアルミニウムの6倍。耐食性、耐熱性に優れ、生体親和性が高くアレルギーを起こさない。地球上で9番目に豊富に存在する元素で地殻成分の実に9%を占める…。と、いいことづくめのようだが、世の中はそんなに甘くない。原料からの分離抽出が大変なのだ。ゆえにチタニウムはレアメタル(希少金属)として分類される。原料鉱石『ルチール』を、摂氏1000度以上で溶融させ、塩素と炭素を加えて塩素ガスによる反応で粗四塩化チタンのガスを作り、これを蒸留して液体の純四塩化チタンにした後、金属マグネシウムで塩素を分離してはじめてチタン(スポンジチタン)が取り出される。ここまでで10日以上を要し、しかも現在世界最大級の生産設備でも一度に生産できるのはわずか11トンにすぎない。さらに最近は、原料のルチール鉱石が枯渇してきたために、人工的にルチールを生成する工程も必要になった。これだけ手間のかかるチタンの分離抽出に成功したのは1910年のことで、工業レベルで可能になったのは1946年になってからのこと。価格も相当なもので、トンあたりなんと300万円。これはステンレスの10倍、鉄の50倍に相当する。

【ちびっ子ヤングたいかい】[ちびっ子ヤング大会]
 →ちびヤン

【ちびヤン】
 海上自衛隊のイベント、ちびっ子ヤング大会の略。かっこいい最新兵器を並べて、若人諸君に自衛隊への理解を深めてもらおう、もしよかったら自衛隊に入隊しないかい?という趣旨で開催される。民主国家の軍隊は、広報も大切な任務である。もちろん、ちびっ子ヤング諸君ばかりでなく、おじいちゃんおばあちゃんまで大歓迎である。実際、会場にたむろしているのは、どう見ても入隊年齢以上のおじさん(…とその予備軍)が殆どである。

【ちもんこうほう】[地文航法]
 『ちもんこうほう』か『ちぶんこうほう』か、どっちかと思ったら『ちもんこうほう』なんだねぇ…。読みを振ってくれないとわからないぞ。地形と航空地図を見比べながら現在位置を判断し、進路を決定する航法。地文航法とは立派な名前が付いているが、みなさんもいつもやっている「ここから50m先のコンビニの角を左に曲がって300m先に駅がある」これも、地文航法。
 当然だが、地上が見渡せる気象状態でなければ使えないし、『地形』がない洋上では使えない。

【ちゃくりくきょり】[着陸距離]
 着陸機が高度50ftにある地点から、着陸して逆推力装置を使わずに(スポイラーによるエアブレーキ効果と、車輪ブレーキによる減速のみ)機体が完全に停止するまでの距離。機体重量や進入速度によって異なる。接地してからの距離ではないので注意。着陸に必要な滑走路の長さは、着陸距離の1.67倍と定められ、雨天などで滑走路が濡れている場合は、さらに1.15倍を乗算する。滑走路の積雪や凍結にも影響されるため、このような場合は旅客・貨物の搭載量を抑える。石垣島にはB737が就航しているが、本来、規定通りならば滑走路長1500mの石垣空港にB737は降りられない。那覇・石垣間の輸送需要が多く、やむを得ず、滑走路にグルーピングを施し、搭載量の抑制などを行った上での特例としている。特例なので余裕なんかは殆どない。滑走路の延長は遺跡があるからできないとか、新空港建設は珊瑚礁が失われるとかで全く手つかずで放置されている。人の命なんかよりも遺跡や珊瑚礁の方が大事なんだな。よ〜くわかった!

【ちゃくりくよほう】[着陸予報]
 →第三種飛行場予報・TREND

【チャフ】
(1)レーダーの電波を乱反射・拡散させるための金属箔類。米軍での呼称である。レーダーが登場した直後から対抗手段として登場しており、ECM(電子対抗手段)の最も古典的なもの。1940年、イギリスのダウニング博士が考案した短冊状金属箔『ウィンドウ』が最初といわれる。レーダーの波長に応じた寸法のチャフでなければ効果がなく、相手がレーダーの波長を切り替えると効果がないため異なった寸法のチャフをその都度選んで放出したり、その都度裁断して放出したり、長さの異なるものを混合散布するなどしている。結構大変である。現在では主にミサイル回避の時間稼ぎとして、グラスファイバーに亜鉛メッキなどを施した糸状のものが使われるが、当然『サイドワインダー』などの熱線感知式ミサイルには通用しない。このため、熱線感知式ミサイルをかわすための『フレア』を一緒に放出するようにしたものもある。→欺瞞紙
(2)《F》アイドルのコンサートで、クライマックスに客席上空に向かって打ち出される大量の金属箔リボン。野外コンサートなどで使用されるマグネシウム花火をフレアと呼ぶ、かどうかは知らない。 どうでもいいが、何を攪乱するんだ?

【ちゅうかりょうりエアポート】[中華料理エアポート]
 
大阪(伊丹)空港の南側、Runway32L末端付近、『32エンド』から『墓場ポイント』へ向かう途中にある中華料理店。入ったことがないのでうまいかどうかはわからない。
 まあ確かにエアポートそのものは間近だが、エアポートのターミナルからは徒歩40分近くかかるところだぞ…。

【ちゅうくうプロペラ】[中空プロペラ]
 読んで字のごとく中身の空っぽなプロペラ。中身がないので軽くできる。対語は中実プロペラである。

【ちゅうじつプロペラ】[中実プロペラ]
 読んで字のごとく中身の詰まったプロペラ。対語は中空プロペラである。木材削り出しのプロペラは中実プロペラの代表例である。

【ちょうおんそく】[超音速]
 機体全体が音速(音の伝わる速度)を超えた状態。部分的に音速を超えている場合は遷音速、機体のどこの部分も音速を超えていない場合は亜音速と言う。機体の形状によって遷音速域が異なるため、マッハいくつ以上が超音速であるとか、マッハいくつまでが亜音速であるかというのは簡単には決められないが、概ねマッハ0.7〜1.1あたりを遷音速としている。現在のジェット旅客機は、巡航中はマッハ0.8ぐらいなので遷音速で飛行していると思っちゃっていいだろう。音速は一般に365m/sec(1,314Km/h)と言われているが、音速は気温や空気密度により異なるため、厳密には海面高度で気温15℃の乾燥空気(これを標準大気と定めている)の場合で340m/sec、1,224km/h、680ktということになっており、これに音速での空気の流れを初めて観測した物理学者エルンスト・マッハの名前を取り、マッハ(Mach)1としている。高空に行くに従って気温と空気密度が下がるため音速は遅くなり、対流圏では高度が1,000m上昇するごとに気温は6.5℃下がるので、対流圏と成層圏の境界に当たる高度11,000mでは、気温-56.5℃となり、音速つまりマッハ1となる速度は295.2m/sec、1062km/h、590.4ktとなる。単純に1,224km/h=マッハ1ではないので注意。仮に流星号が高度11,000mをマッハ15で飛行した場合は、4428m/sec、15930km/h、8856ktということになる。
 超音速では音よりも速く飛んでいるので、後ろの席にいる人の話し声は、前の席ににいる人には全く聞こえない…って、んなわきゃ、ないっての!

【ちょうちょうジュラルミン】[超超ジュラルミン]
プッチーニのオペラ、マダム・バタフライではない。住友伸銅所(現在の住友軽金属工業)が開発し、零式戦闘機以降、航空機の構造材として広く使われているアルミ合金。当時のジュラルミンや超ジュラルミンは時期割れと言って、製造からある一定の時間が経過すると割れやすくなる傾向があり、これを防止する研究の中で、銅を減らし、代わりにクロムを添加したことによって生まれた。アルミニウム合金中最高の強度を有するが耐食性は劣るので、純アルミや7072とのクラッド(圧延工程での張り合わせ)によって耐食性を改善している(コストはその分高くなる)ものもある。それでも塩水にはとても弱く、3%の塩水(海水の1/60の濃度)で腐食が始まる。だからかつて那覇にいたF-104や、南西航空のB737は無塗装部分の塩害防止のためグレー塗装が施されていた。JIS呼称7075。成分はSi0.40%、Fe0.50%、Cu1.2〜2.0%、Mn0.30%、Mg2.1〜2.9%、Cr0.18〜0.28%、Zn5.1%〜6.1%、その他(Zr+Ti0.25%)で、残りがアルミニウムである。7075の焼入れ性を改善したものが7050で、耐応力、腐食割れ性に優れており、厚板、鍛造品に用いられる。 なお、古い文献では超超ジュラルミンはEDS材と呼ばれている場合もある。住友伸銅所の商標である。

【ちょうわり】[超割]
 全日空の国内線で閑散期に行っている全国均一一万円運賃。均一運賃なので短距離では却って割高になる場合もある。全日空という会社はネーミングのセンスが秀逸で、同様の運賃制度は各社が導入しているのだが、一般の人には「JALの超割」(正しくはバーゲンフェア)とか「JASの超割」(正しくはウルトラ割得)とか呼ばれてしまっている。

【ちょくきょうき】[直協機]
 正しくは『ちょっきょうき』と発音するようだが…。→直協偵察機

【ちょくきょうていさつき】[直協偵察機]
 地上部隊の作戦に直接協力することを目的とした偵察機で、任務は偵察のほか、指揮、連絡、着弾観測、攻撃など多岐にわたった戦場の便利屋さん。世界ではじめて直協偵察機として登場したのは旧帝国陸軍の立川98式直協偵察機。現在では小型ヘリコプターやコイン機がこれらの任務を担っていて陸上部隊に欠かせないことを考えると、地味ながらなかなか先進的な存在だったことがわかる。
 ただねぇ、その日本軍は、前戦にいる地上部隊のほとんどが無線機なんか持っていなかったから、直協偵察機と直接連絡を取ることができなかった。後方でお茶すすっている司令部に、いちいち野戦電話をかけるか、伝令を走らせないとどうにもならない。どこの世界にもいるでしょ「必ず俺に話を通せ!」とか言って、つまらないことにまで口を挟む奴…。直協偵察機っていう発想自体は良かったんだけどね…。→直協機

-つ-

【つうろばさみ】[通路挟み]《S》
 一緒に旅行するグループの座席が隣り合わせではなく、通路を挟んでいる状態。新婚旅行でこうなると悲惨。中には通路越しに手を繋いでいたりするから通路を通る人も大迷惑を被る。大安の翌日を避けて新婚旅行に出発すればこうした悲劇(当事者以外は喜劇)はある程度回避できる。

【ツヴァイリング】[zwilling]
 ドイツ軍のハインケルHe111Z のこと。戦車も積める超大型グライダー、メッサーシュミットMe321ギガントの牽引用に、大慌てのやっつけ仕事ででっち上げた双胴5発機。双発爆撃機He111を2機、横に並べて繋いでしまい、主翼の継ぎ目にもう一つエンジンをおまけしている。ギガントが余りに巨大で重く、牽引できる飛行機がないことに気づいて、大慌てで作ったという、ウソのようなほんとの話がある。巨大で横のつながりのない縦割り組織にはよくある話。縦割り社会が生んだ、横に繋がった飛行機というわけ…。余りに変な外観故、うっかり目撃してしまった英軍パイロットがビビって逃げ出し、その後熱を出して寝込んでしまったという、眉唾な話も伝わっている。

【つどーむのおか】[つどーむの丘]
 丘珠飛行場の定番撮影ポイント。丘珠のYSと言えば、だいたいここで撮影されている。つどーむという多目的ドームそばの公園のような場所で、丘と言うより土手と言った方が近い。Runway32に着陸した機体や、Runway14へ向かう出発機が目の前のタキシーウェイを通り、YS-11ならば150〜200mmという比較的お手軽なレンズで狙える。滑走路上は200〜300mm。昼前から順光。丘珠空港ターミナルからは徒歩20分前後、地下鉄東豊線栄町駅からは徒歩10分ほど。

【つばさをきる】[翼を切る]《F》
 飛行機を撮影する際、構図などの理由から主翼の一部を画面から切り落としてしまうこと。飛行機の正面から撮る場合は左右均等に切らないとかなりみっともないし、側面がちに撮る場合は翼下のエンジンポッドを途中で切ってしまうとこれもかっこわるい。機首前方に切り落とされた主翼が収まるぐらいの中途半端な空きがあると失敗写真の烙印を押される。かっこよく翼を切るのはなかなか難しい。

【つる】[吊る]
 降下が早すぎてしまうような場合に、軽く推力を上げて揚力を稼ぎ、降下速度を抑えること。対地速度は上がるけどね。「もうちょい吊ってやって、ちょっと奥へ降ろす」という具合に使う。複葉機などはスロットルを戻すと、抵抗が大きいので一気に速度が落ち、ストンと落ちてくるので、そういう場合はスロットルを軽く開けてちょいと吊ってやる。

【つるまる】[鶴丸]
 言わずと知れた日本航空のマーク。1959年頃からパンフレットの地紋などに使用されていたようだが、当時はまだ『御家紋の鶴丸』を使用していて、鶴丸にJALの文字はない。1961年『コンベア880』導入時にオリジナルデザインの鶴丸となり、社章として制定されている。当時、東京・パリ間を日本航空と共同運航していたエールフランスのスーパーGコンステレーションの窓下にもこの鶴丸が描かれていたが、スターボード(右翼側)の鶴丸は右向き(本来鶴丸は左向き)で描かれていた。エールフランスはペガサスのマークを左右とも機首方向に向けていたので、おそらくこれに合わせたのだろう。
 垂直尾翼に描かれるようになったのは1970年のボーイング747導入時から。1989年に新CIの導入で社章を改定すると同時に鶴丸の『JAL』の書体も変更。鶴丸は単なる垂直尾翼のマークという扱いになり、JAL DREAM EXPRESSなどに至っては羽一枚描いてない。日本エアシステムとの経営統合で伝統の鶴丸も消え去る運命にあり、2002年10月から導入される新塗装で完全にその役目を終える。鶴丸の入ったグッズ類も今後貴重な存在になるので、コレクターの方には気合いを入れて集められることをお勧めする。…価値が上がるまで十年以上はかかるだろうけれど。
 余談だが『鶴丸』ならぬ『丸に鶴』のマークは、ルフトハンザ。

【つんどくモデラー】[積んどくモデラー]《F》
 プラモデルを買ってきてそれっきり、箱に入ったまま棚や押入に積み上げているだけのモデラー。作らない理由というのが、限定品で貴重なものだから(…をい!)とか、細部のディティールを調査中だとか、ディティールアップパーツが手に入らないとか、賃貸で塗装ができないとか(わかるわかる)作る時間がないとか、完成品を置いておくところがない(…もう、何だかな)とか、いろいろである。そうこうするうちに新製品が欲しくなって買ってきてしまうから、いよいよ積み上げた山は高くなる。そうこうするうちに改良新製品が登場し、手持ちの旧バージョンには見向きもしなくなり…と果てしなく続いてゆく。それにしても6畳間に買ってきてそのままのプラモデルがぎっしり詰まっているというのは、いくら何でもやり過ぎである。限定品の貴重なデカールが経年変化でひび割れてしまったら、元も子もないぞ。

-て-

【ていきびん】[定期便]
(1)運航する曜日や時刻が予め定められ、その日時に定期的に運航される便。
(2)いつも決まった曜日や時刻に現れる『お客』多くの場合、招かれざる客を指す。領空侵犯機、目立った行動をするマニア、滑走路を横断する犬猫、巣に帰るムクドリの群れなどなど、いろいろである。

【デイジー・カッター】
 →ビッグブルー(2)

【ディスカバリー・チャンネル】
 アメリカで製作されている科学番組専門チャンネル。日本ではCS、CATVで見ることができる。航空ネタが豊富なので見ていて楽しい。がらくたで飛行機を作っちゃう番組があるあたり、さすがヒコーキの国である。在京キー局で放映される外国の事件・事故の再現ドラマは、どっかで見覚えがあるなと思ったら、殆どはここの製作なのだそうである。音声は吹き替えではなく日本語字幕が入るので、科学やメカに興味のあるお子さんが英語の勉強をするにもちょうどいい。ついつい見てしまうので休日丸ごとテレビの前で過ごしてしまうという危険性はある。日本人にインタビューして、日本語の音声が入っていながら、一旦英語に訳したものを日本語に訳し直して字幕にするというとても回りくどいことをしている。だから言ってることと字幕が微妙に食い違ったりして大笑いである。

【ディスリガード】[disregard]
 「送信内容を取り消す」といった意味。「あ〜っ!今のは無しっ!なかったことにしてっ!」である。航空ファンだと、このタイトルのメールはよく来るよな。

【ディッチング・トレーナー】[ditching trainer]
 着水した機体からの脱出訓練を行うシミュレーター。巨大なプールにディッチング・トレーナーを沈め、そこからシートベルトを外し、ドアを開けて脱出する。水中で半回転して上下逆に沈めるとか、機首を下に沈めるとか、沈め方もいろいろできる。いざというときに備えてプールにはアクアラングを装備したダイバーが待機するが、基本的には乗員が装備するHEED(Helicopter Emergency Egress Device)という緊急脱出用小型エアボンベで呼吸を確保して脱出する。日本では海上自衛隊が保有していて、陸自や空自のヘリパイロットも訓練にやってくるそうだが、空自の救難隊員の話では「そういう訓練は、聞いたこともありませんねぇ…」とか「訓練を志望しても、順番が回って来ませんねぇ…」だそうである。

【ディーテン】[D10]《F》
 →テン

【ディープ・ストール】[Deep stall]
 飛行機の主翼が失速した場合、普通は水平安定板の揚力によって機首が下がり、主翼の迎え角が減少して失速から回復することができるようになっている。しかしT字尾翼機で設計を誤ったり、過大な迎え角を取ると失速した主翼の後流に水平安定板が入ってしまい、水平安定板が揚力を生み出せなくなって主翼の失速だけでなく縦の操縦も失う。この状態がディープ・ストール。このため、T字尾翼機では機首上げ角の制限を厳守しないと大変なことになるし、機体をストレッチする場合も、主翼より後方は殆どストレッチできる余地がない。MD-80シリーズなどが主翼より前方を伸ばしているのはこのため。
 巨大なダブル三角翼の上に水平安定板を設けているウルトラホーク1号は、容易にディープ・ストールに陥るものと思われるが…。どうなんでしょ?

【ディンプル】[dimple]
 皿押しのこと。リベットの頭を沈め、外板と面位置にして空気抵抗を減らすために、穴の縁をプレス加工などによってへこませる。充分な厚みのある部材では、リベットの頭の分を削り取り、リベットの頭を外板と面位置にする『皿取り』(皿もみ=countersink)を行う。

【デカール】
 転写シールと呼ぶ人は、おそらく40代以上だろう。スライドマークと呼ぶ人もいる。プラモデルの塗装を簡略化するために用いられる、水性のりで定着させる極薄フィルムのシール。必要な部分を切り出し、水に浸して台紙から転写させる。保存状態が悪いとひび割れてしまったり、水に浸しすぎるとのりが溶けて定着しなくなってしまったり、かといって水に浸す時間が短いと台紙から移す際に切れてしまったり、いろいろ難儀であるが、各種コーションデータや、複雑なデザインのシンボルマークは、デカールなしには再現は難しい。転写して密着させ、乾燥させたらクリアー塗料でコーティングしてやる。このクリヤー塗料にも相性があって、モノによってはデカールを溶かしてしまう場合があるので、事前に不要なデカールでテストをしたほうがよい。

【てがたいせっけい】[手堅い設計]
 最新技術には一切関わらず、効果や安全性が充分に確認されている技術、つまり枯れた技術だけを用いて作られ、性能的には全く平凡か、時代遅れになってしまった機体を、悪く言うわけにいかない場合に用いる苦肉の褒め言葉。本などで手堅い設計としか褒めていなかったら、それはもう褒め言葉ではなく「向上心ってものがないのか!」という意味である。

【テキサン】
 T-6テキサン。アメリカのレシプロ練習機。自衛隊でも初期の頃に使っていたので、あちこちの基地でゲートガードになっていたり、航空博物館に飾ってあったりする。アメリカのエアレースでは、テキサンだけのワンメイクレースまであったりする。映画に登場する第2次大戦中の戦闘機は、米軍機を別にすれば殆どテキサンの改造である。零戦がテキサン改造というのはよくあるが、『遠すぎた橋』ではテキサン改造の自称ハリケーンなるものまで登場している。全然似ていないから、最初に見た時は何かと思ったぞ。もっともあの映画では、レオパルドそのまんまの自称ティーゲル戦車まで出現したからな。誰も勝てっこないって、そりゃ…。

【デコンプレッション・シックネス】[Decompression Sickness]
 →減圧症

【デスクトップモデル】
 1/144〜1/200ぐらいの縮尺で作られる旅客機模型。航空会社のカウンターなどに置かれるデスクトップモデルだと1/100ぐらいの大物もある。専用の飾り台の上に置かれ、やや機首を上げてあたかも上昇しているかのような姿で飾られる。この機首上げの角度は、テールの跳ね上がりが水平になる程度が一番見栄えが良いとされているらしく、どこの製品もみなテールの跳ね上がりが水平だったりする。

【デスティネーション】[destination]
 最終目的地。片道(OW)の場合は文字通り最終目的地だが、往復旅行(RT)の場合は折り返し点となる。航空券の表示では『DEST』と略される。

【てっとうつききんぎょばち】[鉄塔付き金魚鉢]《S》
 ベル47など、初期のヘリコプターのこと。テイルブームはトラス構造で鉄塔を横にしたようだし、コクピットはアクリルの球状でこれまた金魚鉢のようで、なるほど鉄塔付き金魚鉢だ…。

【デッドヘッド】[Dead head]
 便乗。次の乗務先までの移動のために飛行機に乗ることで、要するに『乗務員の回送』仕事しないで客席に座っている乗務員のこと…とは言っても移動も仕事のうちなので、制服は上着着用、仮眠・私語禁止としている会社もあるとか。航空ファンとしては、いろいろな話を聞けるチャンス…とは思うが、あまり邪魔をしないようにね。長距離路線などでは却って疲れてしまうので『私服でデッドヘッド』という裏技もある。エコノミークラス後部中央に、妙におとなしい一団が固まっていたらそれは『私服デッドヘッド』と思ってほぼ間違いないが、そこは知らない振りをするのが粋ってぇもんだ。スタンバイ要員が移動する場合などは一人でデッドヘッドしなければならない。

【てつのかたまり】[鉄の塊]
(1)《F》「鉄道ファンならクルマを持つな!飛行機に乗るなど言語道断」と公言して憚らぬ一部の鉄道マニア。アクセントは『て』におく。
(2)飛行機があまり得意でない人が、飛行機に対して抱くイメージ「あんな鉄の塊が空を飛ぶなんて…」飛行機に鉄は殆ど使われておりません。ましてや、塊では誰も乗れません…。

【てつひこさん】[鉄飛行さん]《F》
 本来は鉄道ファンの間で使われる用語。鉄道と飛行機を掛け持ちで趣味にしている人。軍用機の世界では少ないが旅客機の世界ではを圧倒的多数占める…らしい。

【てにもつけんさ】[手荷物検査]
 飛行機に乗るに当たって、ハイジャックや爆弾テロの防止のために避けては通れぬ手続きの一つ。機内に持ち込む荷物は当然としても、貨物室に預ける荷物も検査を受ける必要がある。それどころか、場合によっては空港に入る前にも手荷物検査があったりする。安全のためとはいえ、三度目ともなるとさすがにうんざりである。なお、税関での手荷物検査は『旅具検査』と言う。

【でびでび】《S》
 →Deviation

【デルタたいけい】[デルタ隊形]
 6機編隊で、先頭が1機、2列目が2機、3列目が3機で三角形を作る隊形。5機編隊の場合は3列目が2機となる。

【テン】《F》
 ダグラスDC-10。垂直尾翼の根元にエンジンがある3発機だが、一般的な3発機のようにS字型のダクトで胴体後部のエンジンに空気を導く方式ではなく、胴体の上にエンジンを載せ、さらにエンジンの上に垂直尾翼を付けた形をしている。『ディーテン』と呼ぶ人もいる。同じテンでもロッキードL1011トライスターは『エルテン』と呼ばれる。→ディーテン

【てんそくこうほう】[天測航法]
 太陽や月、恒星などの見える角度と方位を六分儀(セクスタントとも言う)という観測機器で測り、得られた数値と観測時刻を天測計算表に当てはめ、現在地を知る方法。東京で見る星もふるさとで見る星も同じだよと歌ったのは福田明日香(モーニング娘。のNever Forget。のちに保田圭も歌っている)だが、見える角度は違う。機上で天測航法をを行っていたのが航法士。昔の飛行機はこの天測を行うための窓や透明ドームがコクピット近くの機体上部に設けられていた。洋上での航法と言えば古くからこれである。最近の考古学研究では大航海時代どころか、縄文時代以前から行われていたとする説もある。最近では航空機の洋上航法にはINSやGPS(これは自動化・精密化された天測航法とも言えるが)が用いられるようになり、船乗りでさえも学校の訓練でしかやったことのない人は多い。

【てんぱ】[転把]
 手でくるくる回す、ハンドルのことである。ハンドルは敵性外国語なので使ってはいけない。旧帝国陸軍はこういう下らないことにえらく血道を上げていた。海軍はそうでもなかったようである。転把はギア比を大きくするなどして重いモノを小さな力で動かせるよう工夫されている代わりに、何回もぐるぐる回さなければならないのでとても忙しく、イライラする。よってこういう状況をテンパると言う…わけではなく、テンパるの語源は麻雀の聴牌(テンパイ)から来ている。

【でんぱへいき】[電波兵器]
 怪電波を発信して、地球侵略を企てる敵の宇宙船を撃破するパラボラアンテナ型兵器…ではなく、レーダーや通信機材、航法装置、ミサイル誘導機器などなど、電波を使用する軍用の機材のこと。アンテナも含まれる。まあ、そのうち、電磁パルスなどを発信して、敵の電子機器を破壊する兵器とか、強力なマイクロ波で敵をチン!してしまう電子レンジみたいな兵器などはホントに出てきそうだが…。

-と-

【とうか】[投下]
 高いところからものを投げ落とすこと。赤坂の某テレビ局屋上ヘリポートに上がる際に「ここからボールペンを落とすと、地上に達する頃には充分な殺傷能力を持つまでに加速する。だから絶対物を落とさないように」と教わったことがある。ヘリコプターで上空から撮影を行うカメラマンは部品脱落を警戒して操作性を犠牲にしてもカメラをガムテープでぐるぐる巻きにするくらいだ。
 航空法第八十九条には「何人も、航空機から物件を投下してはならない、但し、地上または水上の人または物件に危害を与え、または損傷を及ぼすおそれのない場合であって、国土交通大臣に届け出たときはこの限りではない」とある。飛行機をチャーターして海難現場を訪れるような場合、誰もいない洋上であっても出発前に許可を取らなければ花束一つ投下することはできない。地上に物を投下する許可はなかなか下りないが、洋上での花束投下ぐらいならば比較的簡単に許可が下りるので、慰霊などで飛行機をチャーターする際はなるべく早い段階で航空会社と相談されることをお勧めする。手続きは航空会社が行ってくれるし、許可が下りれば窓の開く飛行機を回してもらえる。

【とうかかんせい】[灯火管制]
 夜間、照明の光を屋外に漏らさないように遮光などを行い、上空から見た時真っ暗闇にしてしまって建築物や車両の存在を偽装すること。戦時中日本では、路面電車が架線から発するスパークまで問題にしたというが、それはいくら何でもやり過ぎだろう。そこまでやっても、いつも同じ場所から探照灯をバンバン点灯して、いつも同じ場所から高射砲バカバカ撃っていたら全然意味がないようにも思うが…。
 流石に敵もさる者。都市爆撃はラヂヲ放送の電波を捉えて電波の到来方向から自機の位置を割り出し、大まかな位置がわかれば、後は大雑把な無差別爆撃だから、わずかな月明かりでも何とかなっちゃうものだったそうだ。月明かりがなくてもB29ならレーダー照準という手も使えたし…。
 動けない都市はさておき、地上部隊の灯火管制はベトナム戦争の頃までは案外有効だったらしい。

【とうきょうタワー】[東京TWR]
 港区芝公園にある高さ333mの電波塔ではない。羽田空港の管制塔のこと。

【とうさいかいじょ】[搭載解除]
 護衛艦に搭載されていたヘリコプターを陸上基地に降ろすこと。横須賀に入港する艦船の場合、ヘリは大島沖で搭載解除となり、館山航空基地へ移動する。帽振れでお別れである。

【とうさいき】[搭載機]
 永石正孝海軍大佐の説によれば、旧帝国海軍において、戦艦、巡洋艦、潜水艦に搭載されていた航空機のことで、航空母艦、水上機母艦に搭載されていた航空機は『艦載機』と区別されていたとか。書類上の区分と思われるが、既にこの時代に『考古学』の如き扱いでは、さらに年月の経った今となっては確かめるすべもない。
 どうでもいいが、戦艦に積まれていた『搭載機』と、水上機母艦に積まれていた『艦載機』は、同じ機種でもどこか違っていたのだろうか?

【どうちょうきじゅう】[同調機銃]
 回っているプロペラの合間を縫って発射できるようにした機関銃。プロペラの回転に連動したリンク機構によって機関銃発射のタイミングを取っている。パイロットの目線近くに機銃を置くことで射撃精度を向上させている。オランダのアントニー・フォッカーが1917年に考案したLMGD8/15 7.92mm機銃が最初で、フォッカー・アインデッカーE III(3)型機に装備された。アインデッカーE III(3)の前年に初飛行したアルバトロスD3型機が最初とする説もあるが、後付改造の可能性もあるため定かではない。新製当初から装備していたという条件ならば、世界初はアインデッカーE III(3)で間違いないだろう。
 同調機銃が登場する以前の空中戦は、パイロット同士が拳銃で撃ち合ったり、敵機の上から煉瓦を落としたりといった何やら長閑なものや、翼の上に機関銃を据えてプロペラの頭越しに射撃したり、エンジンとプロペラを後ろに付けた推進式にするという、至極真っ当なものもあったが、中にはプロペラに鉄板を貼り付け、プロペラに当たった弾丸は弾き返せばいいだろうという、危険極まりないものもあった。実は、フォッカーが同調機銃を思いついたきっかけが、フランスのモラン・ソルニエが作ったこの鉄板付きプロペラだというから、世の中わからない。

【とうぶぐんかんくじょうほう】[東部軍管区情報]
 ちょっと前の朝の連続テレビ小説でおなじみ。箪笥の上のラヂヲが突如ブザー音を鳴らし「東部軍管区情報、東部軍管区情報、戦爆合同ノ敵機多数、東方洋上ヨリ接近、帝都ニ侵入セル模様」と放送される。軍の電探がタコだったから放送される頃にはもう低空侵入するB29の爆音でちゃぶ台の茶碗は踊り出し、街のあちこちからサイレンが鳴り、隣組班長はメガホンで「空襲警報!」と叫び、みんなは防空頭巾被って防空壕に避難…そのころにはB29の大編隊は頭上に来ている。

【とうほくよんだいまつり】[東北四大祭り]《F》
 ご存知東北三大祭り(仙台の七夕、秋田の竿灯、青森のねぶた)に、三沢の航空祭を加えて東北四大祭りだそうである。山形の花笠踊りは、三沢の飛行機踊りに食われてしまったようだ。航空自衛隊三沢基地と、在日米空軍三沢基地の合同で開かれ、規模は国内屈指。たった一日で観客動員20万人(主催者発表)というから、コミックなんたらとかいう同人誌即売会なんか目じゃない。前夜には三沢の宿は満杯になるので、遠方からお越しの方は、お宿の予約はお早めに。海上自衛隊八戸基地の基地祭が前日に行われる場合もあるので、その際は是非セットで楽しもう。三沢の所属機が近所の誼で来ていることもあるので、じっくり見るには好適だ。

【トーバーレスけんいんしゃ】[トーバーレス牽引車]
 トーバー(牽引棒)を使用しない牽引車。飛行機の前脚を抱え込み、タイヤの下にプレートを差し込んで十数cm程持ち上げた状態で牽引する。牽引時の最高速度は35km/hで、トーバー式牽引車によるトーイング(10km/h制限)よりも速度規制が大幅に引き上げられており、日本の場合は誘導路の最高速度(空港内の車両の最高速度でもある)で牽引できる。関節が一箇所のみになるのでプッシュバック操作が比較的やりやすいなどの利点があるが、牽引できるのはごく一部のワイドボディ機に限られる。また、トーバーレス牽引車の導入に際しては、航空機メーカーにトーバーレス牽引車の使用を届け出なければならない。

【ドーラ】[Dora]
 日本テレビの女性アナウンサー3人によるアイドルユニット。昔、そんなのあったよなぁ…ってそっちではなく、第2次大戦中のドイツ空軍の戦闘機、長っ鼻の異名を持つFw190D、あるいはその派生型Ta152のことだ。細かいことを言うと、190D型だけがドーラなのだが…Aはアントン、Bはベルタ、Cはカエサル、Dがドーラで、Eはエミール、Fはフリードリヒ…という具合だ。もともとFw190は主力機Bf109の量産体制に支障が出た場合のリリーフとして作られた。そのためBf109が使用する液冷DB601エンジンの使用は認められず、空冷BMW139を使用した。第2次大戦中のヨーロッパの戦闘機で、空冷エンジンを搭載した機体は非常に珍しい。不当に低く扱われた(なにしろ総統閣下の腹次第だ…)Fw190だが、飛行性能全般にわたってBf109を凌ぐ結果を出したため、本命Bf109一人勝ちの鉄板レースは一気に大荒れの様相となる。さすがの総統閣下もそっぽを向いてるわけにはいかなくなり、Fw190はリリーフから先発陣の双璧へと昇格を果たした。Bf109と共にドイツ空軍の双璧をなす高性能機ではあったが、唯一の弱点が高々度性能。高度6000m以上ではエンジン出力ががた落ちになるとあっては空軍も「液冷はダメ!」とも言っていられなくなり、液冷のJumo213を積んだのがFw190Dである。全長の長い液冷エンジンを搭載するため機首は大幅に延長され、シルエットは殆ど別物と言っていい変貌を遂げている。Ta152はFw190Dの高々度性能をさらに充実させたもので、Jumo213EやDB603Lを搭載。主翼、胴体とも延長され凶悪なシルエットにさらに磨きがかかった。う〜ん、かっこいいっ!高度10,000mで最高速度750km/hの快速を叩き出し、P-51やスピットファイアを圧倒する性能を誇ったのだが、この頃にはもう敗戦間近で優秀なパイロットも燃料も枯渇し、生産機数もごく僅かであったってのは、よくある話。

【とくしゅこうくうきX】[特殊航空機X]
 「特殊航空機エ〜ックス!はるか成層圏の彼方より、この世の悪を倒すため、スクランブルで只今参上…」怪しい、怪しすぎる…。何やら昭和40年代の特撮ヒーローが乗る航空機みたいで、怪しいことこの上ない名称だが、もちろんそんなわけはない。もちろん、NHKの某番組で田口トモロヲが開発プロジェクトのエピソードをを語るような飛行機というわけでもない。
 説明せねばなるまい!特殊航空機Xとは、運用限界等指定書に示される『耐空類別』のひとつで、飛行機曲技A、飛行機実用U、飛行機普通N、飛行機輸送C、飛行機輸送T、回転翼航空機普通N、回転翼航空機輸送T A級、回転翼航空機輸送T B級、滑空機第一種〜第三種、動力滑空機Sのいずれの類別にも属さないものなのであ〜る。つまり、次のような場合が特殊航空機Xに該当する。
(1)特殊な設計の航空機であり、標準の耐空類別の耐空性基準が適用できない飛行船のような例。
(2)標準耐空類別の耐空性基準に一部適合しないが、運用限界に制限を設けることでその安全性を確保する場合(農薬散布装置やカーゴスリングを装備した航空機)
(3)標準耐空類別の耐空性基準への適合完全に証明するには申請者に過大な負担がかかるため、適合性の証明の一部を省略する場合に、運用限界に制限を設けることでその安全性を確保する場合。
(4)研究・開発を目的とした航空機で、機体製造会社または公的試験研究機関が申請者となるもの。
(5)最大離陸重量5,700kgを超える単発機。(但し、実機として存在するものはない)

【ドクター・キラー】[doctor killer]
 ビーチクラフト35ボナンザの渾名。V字尾翼を持ち、なかなか格好いい軽飛行機で、これが1945年原型初飛行と言うから驚いてしまう。今でも斬新なデザインなのだから、当時の人々は一目で参ってしまい、医者や弁護士が挙って買った。ただ、V字尾翼機の操縦は、ラダー(方向舵)とエレベーター(昇降蛇)の役割を掛け持ちさせる『ラダベーター』を使い、飛行特性や操縦性が通常の飛行機とは異なったため、事故が続発した。オーナーの多くが医者などのインテリ、ブルジョア(飛行機が買える人ってのは、大概ブルジョアだが…)であったために否応なく世間の注目が集まり、こんな有り難くない渾名を頂いてしまったのだとか。きちんとV字翼機で訓練を積んで、飛行特性を理解している人なら全く問題はなかったわけだが、自家用軽飛行機は、訓練が不充分な人が操縦する場合もあり得ることを考えたら、あまり妙な機体は作らない方が良かったのかもしれない…。

【とくち】[特地]
 特定地上職の略。全日空が特定地域の事業所での勤務を前提に、新卒者を対象に採用している長期雇用の正社員。業務内容は旅客部門での搭乗手続き業務や案内業務か、販売部門でのセールス業務。特定地域とは関東地方のことを指すらしく、配置先は成田・羽田のみである。

【とけいだい】[時計台]
 羽田空港西ターミナルビル2階出発ロビーに立てられている時計塔のこと。札幌の時計台みたいなのを想像してはいけない。それぞれ番号があり、団体旅行の集合場所として利用されている。

【どさまわり】[どさ回り]《S》
(1)ローカル路線ばかりをまわる運用。
(2)経由地の多い路線。
(3)何にもない地方都市でのステイがある運用。

【とっこう】[特攻]
 日本軍が第2次大戦末期に行った『特殊攻撃』あるいは『特別攻撃』の略。要するに『体当たり攻撃』のことで、航空機あるいは艦船によって敵艦船に対し体当たり攻撃を敢行する目的で出撃している場合を主に言う。最初の特攻は昭和19年10月21日、海軍の神風特別攻撃隊によって行われたが、それ以前にも帰還不能の損傷を受けた機による体当たり攻撃は行われていた。特攻作戦の実施については昭和18年6月ごろより軍上層部で密かに検討が進められていたが、この段階ではまだ『特殊攻撃』の略であった。正攻法ではない『特殊』な戦法であるという程度の認識はあったようだ。昭和19年10月の最初の特攻作戦実施に伴う攻撃隊命名の段階では『特攻』は『特別攻撃』の略とされ、以後、歴史書などでは特別攻撃の略と解説されている。海軍機による特攻は『神風(しんぷう)特別攻撃隊』陸軍機による特攻は『陸軍航空特別攻撃隊』あるいは『神振(しんぶ)隊』と命名された。有名な神風特別攻撃隊の創設者は大西瀧治郎中将であるが『神風』の名称については、二〇一空の特攻要員が「神風隊という名前を賜りたい」と大西に願い出たとする説と、源田実大佐(後に航空自衛隊幕僚長、衆議院議員)が命名したとする説がある。『神風』は当時でも『かみかぜ』と読んでいたが、豊田副武連合艦隊司令長官の「神風というのは海軍ではシンブウに呼ぶ…」(最後の帝国海軍:豊田副武、昭和25年刊)から、正式な名称では『しんぷう』になったという。神風特別攻撃隊は昭和19年10月21日に開始され、翌年8月15日の終戦まで続いた。出撃回数は延べ290回、出撃機数は2370機、2520名が戦死している。陸軍航空特別攻撃隊では出撃機数約1300機で1388名が戦死しているものとみられる。
 特攻兵器には航空機のみならず、戦艦『大和』小型艇『震洋』潜水艇『回天』なども用いられたし、航空機も通常の戦闘機や爆撃機だけでなく特攻専用のロケット機『桜花』や、羽布張りの複葉機や重いフロートを装着した水上機までも用いられた。さらに、いわゆる特攻とは異なるが、陸軍ではB29に対して三式戦闘機などによる体当たり攻撃を行ない、沖縄などでは地雷を抱いた兵士が戦車に飛び込むことも行なわれている。火力支援なしの銃剣突撃、いわゆる『玉砕』も、こうした「体当たり攻撃は当然」という風潮の中から生まれた。特攻や玉砕が行われた背景には、兵士は赤紙一枚で(一銭五厘というのは誤り、召集令状は郵送ではない。無料である)いくらでも補充がきくという明治以来から続いた軍上層部の思い上がりが根底にある。ドイツでは同じ体当たり攻撃でも兵士の生還を考慮していた。かのヒトラーでさえ、体当たり攻撃の上申に「そこまで兵士諸君に国家への忠誠を求めることはできない」と語り、難色を示したと伝えられている。対して日本では、特攻機は片道燃料で、搭乗員にはパラシュートすら持たせなかった。体当たり攻撃は『やむを得なかった』のではない。軍上層部は体当たり攻撃以外は『何も考えていなかった』のである。戦争指導者が何も考えずに命令を下すのは、最も重大な戦争犯罪と言えるだろう。
 余談だが、イギリスの戦闘機がドイツのV1ミサイルに対して体当たりをしたと言う記述が一部の文献に見られるが、V1は翼端でちょいとつついてやればあっけなく墜ちるような代物で、体当たりなどという大袈裟な話ではない。

【トップガン】[TOP GUN]
(1)米海軍戦闘機パイロットの頂点に立つべく、日夜訓練に明け暮れるトップガン(正確には、ミラマーにあったNaval Fighter Weapons Schoolの別名、現在はNaval Stike & Air Warfare Center)訓練生の物語。…っても暇さえあれば女性教官を口説いたり、友人を事故で死なせてしまって落ち込んだりで、日夜訓練に明け暮れるという感じではなかったが…。1986年、パラマウント映画。監督:トニー・スコット。製作:ドン・シンプソン、ジェリー・ブラッカイマー。脚本:ジム・キャッシュ、ジャック・エップスJr.。主演はご存知トム・クルーズ。今なお、飛行機映画の代表格としてその名が挙げられる。公開当時はMA-1(フライトジャケット)とかトムキャットのプラモデルとかレイバンのサングラスとかKawasaki 900 Ninja(当時まだ輸出専用だった川崎重工の900ccオートバイ。最近まで殆ど形が変わらずに生産されていた)とか、とにかく劇中に登場した、とか、登場したと称するありとあらゆるモノが売れまくったものである。折角トム・クルーズ気分に浸っているところ、申し訳ないが、トム・クルーズが着ていたフライトジャケットは、G-1ってやつだったような気がするが…編者はフライトジャケットとかパッチとかはさっぱりなので、誰か教えてくれ。それはさておき、当時の航空祭では、ケニー・ロギンスが歌う劇中歌のDANGER ZONE(♪はぁ〜いうぇ〜いとぅ〜ざ、でぃんじゃぞ〜ん…って、あの曲である)が一日中延々とエンドレスで流され、辟易とした航空ファンも多かろう…って、それは今でも変わらないな。最近になって、DVDは発売されるわ、'80年代ポップスブームに乗ってサントラCDが復活するわと、また賑やかである。実はちょい役で若き日の(あの当時でもあんまり若く見えないけど…)メグ・ライアンが出ているので、探してみよう。
(2)ミラマーにあったNaval Fighter Weapons Schoolの別名、現在はNaval Stike & Air Warfare Center。
(3)秋葉原のヒコーキグッズ屋さん。ダイキャストミニチュアの品揃えには驚愕させられる。Macintoshの販売…と言うより、江頭2:50が怪しいダンスをするCMで知られる秋葉館の経営である。

【トップスチュワーデスものがたり】[トップスチュワーデス物語]
 TBS系列で放映されたテレビドラマ。1990年4月17日から6月26日まで、毎週火曜日、全6話放映。主演は山田邦子。鶴丸笑劇場の異名を持つ怪作。これを見てスチュワーデスを志した人が…いたのかなぁ?。原作は深田祐介(集英社刊)だが、この原作からどこをどうやったらあの恐ろしい番組ができるのか…。

【トップ・ランディング】[Top Landing]
 
TAITOが1988年に発表したゲームセンター向けフライトシミュレーションゲーム。世界初のゲームセンター向け民間航空機シミュレーションゲームだ。起源をたどると日立ベーシックマスターレベル3用のプログラム『THE COCKPIT』の移植だそうである。前後左右に傾斜可能な筐体の中に入ってプレイするものが主流だったが、本体と座席が一体化したアップライト型という前後左右動なしのタイプもあったようだ。操縦席にあるのは操縦桿とスロットルレバーだけとシンプルそのもの。編者も何度かやったことがあるが、着陸寸前にフレアを掛けると上昇してしまいゲームオーバー。横風でもクラブでは降りられない、スリップで降りようとしてもあらぬところにふっ飛んでいってしまいゲームーオーバー(方向舵ペダルがなく、操縦桿で方向を制御し自動的にバンクに入る)外で誰かが筐体を押していると、姿勢制御不能に陥りゲームオーバー…最初はみんなこんなモンよ。この後改良に次ぐ改良で最高傑作『JETでGo!』へと繋がってゆく。かの有名な『電車でGo!』も、起源をたどるとトップランディングに行き着く。TAITOが送り出した数々の名作シミュレーションゲームの出発点である。

【トツレ】
 旧帝国海軍航空隊における『突撃態勢作れ』の無線電信略号。

【どどめいろ】[どどめ色]《F》
 1980年代前半頃から登場したアメリカ海軍機のロービジ塗装(明度差の低い灰色迷彩)を古い航空ファンはこう呼ぶのだが、実際のどどめ色とは暗い赤紫色のことで、インターネットで使われる16進数の色指定で言えば#330000が近い。…って全っ然!違う色じゃん!もともとは北関東(利根川より北)あたりの方言で、堤防の土止めに植えた桑を『どどめ(土留め)』と呼んだことから、完熟した桑の実の色をどどめ色と呼んでいるのだそうだ。

【とびそう】[飛びそう]
 アニメや特撮などに登場する架空の航空機に対し、航空ファンが贈る最高の賛辞。そう呼ばれる機体は非常に少なく、『マクロス』のVF-1バルキリー、『紅の豚』に登場する機体(あれも架空機だ)と、『ジャンボーグエース』のセスナ(…っておい!あれは本物だよ)ぐらいしか編者は浮かばない。とはいっても最近は、実物の航空機のほうがものすごい形をしているから、あまりあてにならないのだが…。「とりあえず飛びそう」から「ちゃんと飛びそう」までランクが付けられる場合もある。

【とびはく】[飛び泊]
包括旅行運賃を適用した往復航空券と宿泊1泊分をセットにしたパッケージツアー。旅行業界の用語。1泊分だけなので足りない分はツアーのオプションから選んだり、自分で好きな宿を予約したり、実家や友人宅などに泊まったりすることができる。(もちろん、野宿、車中泊ということもある)1泊とはいえ宿泊をセットすることで包括旅行運賃が適用できるので、旅行代金は安価にできるが、予約済み航空券の変更はできない。国際線の場合は、いわゆる格安航空券などと呼ばれる包括旅行運賃を適用した航空券単体での販売が、既成事実として行われているのであまり意味はないが、国内線で包括旅行運賃を適用するには宿泊をセットしなければならないので、こういうツアーが販売される。

【とびます・とびます】[飛びます・飛びます]
 坂上二郎がコント55号時代に演じていたコント。萩本欽一が演じる管制官からのクリアランスを得て、離陸を開始するコントである。両手の薬指と人差し指を曲げて前進翼機をかたどり、これを交互に口元に当てて「飛びます・飛びます」と言う。

【ドブ】《F》
 →運河堀(1)

【ドブネズミ】《F》
 ネズミ色で塗りたくられたユナイテッド航空機のこと。ったく、失礼な…。

【ドメスティックコーヒー】[Domestic coffee]《S》
 「Domestic=国内の…国内…こくない…濃くないコーヒー」で、アメリカンコーヒーのこと。全日空のおやぢなコクピットクルーが使う呼称で、国際線でもドメスティックコーヒーである。日本航空では『ABC』と呼んでいる。→ABC

【ドライサンプ】
 エンジンの外にオイルタンクを設け、ここから潤滑油を供給し、エンジンから戻ってきた潤滑油はタンクに戻す潤滑方式。星形エンジンや倒立V型エンジンはウエットサンプ(エンジン下部にオイルパンを設け、ここに潤滑油を貯めておくもの)では下向きのシリンダーがオイルの海の底へ沈んでしまうし、飛行姿勢によっては潤滑油の供給不良を起こしてしまう虞があるので、軽飛行機用水平対向エンジンを別にすれば、航空機用レシプロエンジンではドライサンプ方式が主流となっている。潤滑油の冷却という点でも、エンジン外部に潤滑油を貯めるドライサンプ方式は有利である。

【トライスター】
 ロッキード社の3発ジェット旅客機、L1011トライスター。ロールスロイスRB211エンジンの開発に手間取って営業的には失敗だった上に、あの『ロッキード事件』の主役の座を押しつけられるなどまことに不運な旅客機だったが、ファンの人気は非常に高く、1980年代の航空コミックにおいても「スキー場に胴体着陸を敢行する」「地対空ミサイルを回避する」(ファントム無頼:新谷かおる)「核爆弾を仕掛けられて洋上への着水を敢行する」(成層圏のローレライ:柴田昌弘)「着陸と同時に爆発する爆弾が仕掛けられ…」(爆砕空路:御厨さと美)などの大活躍で知られるスーパースター。ダグラスDC-10が空港シーンのエキストラ程度だったのとはえっらい差である。図体の割に操縦性がよいとかでパイロットの間でも評判がよかったが、客室乗務員の間では「手荷物収納場所が少ない」「ギャレイが床下なので不便」「後部ラバトリーからの匂いが逆流する」など、余り評判は芳しくなかった。極めて高度な自動着陸装置や、接着剤を多用した組み立てなど、今日のハイテク旅客機に通じる存在でもあったが、結局、トライスターを最後に、ロッキードは旅客機の開発・製造から撤退している。
 全日空はDC-10をキャンセルしてトライスターを発注したことで、ロッキード事件に巻き込まれはしたものの、キャンセルしたDC-10はトルコ航空に流れ、パリ郊外で欠陥による墜落事故を起こしている。塞翁が馬、なのであろうか。→エルテン

【ドライリース】
 機材のみを借り、乗務員は自前で用意するリース形態。他の航空会社から借りる場合もあればリース会社から借りる場合もある。他の航空会社から借りる場合、所有する航空会社の塗装のままででロゴだけを運航する航空会社名に書き換えた変な飛行機が登場することがある。機材を乗務員付きで借りる場合は『ウエットリース』という。

【トラクタ】
 牽引式の飛行機。牽引式とは飛行機の一番前でプロペラがブンブン回っているもの。つまり普通のプロペラ機のことである。

【ドラゴンウイングス】[DRAGON WINGS]
 香港に本拠を置く模型メーカー、ドラゴンの1/400旅客機ミニチュア。機体はダイキャストだが翼はプラスチック製で、翼端部の薄さが嬉しい。変なところでパーツ分割をしていないのも○。マーキングの印刷も良好な部類と言えるだろう。お値段はワイドボディ機で3〜4,000円ほど。編者はここのB747が一番できがいいと思っている。DC-10はちょっと目つきが悪い。後発メーカーなのでまだラインナップが少ないのが難点。懐かしのDC-8やコニーなども出して欲しいぞ。

【トラベルポッド】[travel pod]
 軍用機の翼下や胴体下に取り付け、パイロットの身の回り品や機体のカバー類、セイフティピンなど細々としたものを収めるための、増槽タンクによく似た形のケース。文字通り飛行機がぶら下げる旅行鞄。通常の飛行では取り付けないが、航空祭に参加するために他の基地からやって来た機体がぶら下げていることがあり、意外に目にする機会が多い。米海兵隊がFA-18のトラベルポッドからパッチの在庫を取り出して売っていたのを見たこともある(…つ〜か、買ったよ)ドライバーで十数本のネジを外して小さな蓋を取り、中にものを入れ、再び十数本のネジを締めて蓋を閉める。大きなものは入れられないし、開け閉めは非常にめんどくさそうである。

【トランジション】[transition]
 SID(標準計器出発方式)から航空路につなげるために定められたルート。SIDは出発管制の管制区までで終わっているので、そこから航空路へつなげてやらなければならない場合が多い。なぜそんなに細切れにするのかって?SIDは方面別に何通りもあり、それをいちいち数百km先の航空路までつないでいたら大変なことになってしまう。AV機器の裏でとぐろを巻いているケーブルみたいな状態かな。ある程度束ねて別に整理した方がいいというわけ。
 なお、日本には存在しないが、米国では航空路とSTAR(標準到着経路)をつなぐためのトランジションというのもある。

【とりいじろういないな】
 航空無線をワッチしていて、「ジャパンエア鳥井次郎いないな」と聞こえたら、それは日本航空の鳥井次郎さんを探しているのではなく『Japan Air 309(トゥリー・ズィーロゥ・ナイナ)』日本航空309便のこと。

【とりにんげんコンテスト】[鳥人間コンテスト]
 よみうりテレビが主催し1977年より琵琶湖で開催している、自作人力プロペラ機と自作滑空機の飛行距離を競う大会。ウルトラクイズなき今、24時間テレビ、欽ちゃんの仮装大賞と共に日テレ系の3大看板特番と言っても過言ではない。また、これだけの規模で開催される自作人力飛行機競技会は世界的にも他にほとんど例がない。
 大まかなルールは湖水面上10mのプラットホームから自作人力プロペラ機または自作滑空機で10m以内の助走で離陸。着水地点までの直線距離を2台の光学測距儀(飛行距離1000m未満)または追尾艇に搭載したGPS地球局(飛行距離1000m以上)を使用し計測する。これまでの最長記録は1998年22回大会での人力プロペラ機部門の23688.24m。滑空機部門は同大会での364.08m。
 参加者は機体にケブラやカーボンファイバなどのハイテク素材を多用し、年々飛行距離を伸ばしてはいるが、それでも気象状態によって大きく成績は左右される。1987年、1988年の場合2年連続でプロペラ機部門は強風で中止、1997年大会は台風により全面中止。また、飛行しても微妙な風の変化などで失速する場合も多く、機体制作費だけでも2〜300万円を掛け、1年がかりで製作した機体が一瞬にしてスクラップになってしまい、涙をのんだ参加者も数知れない。

【トリプルユー】《S》
 「You ウルトラ うるさい」の略。文句の多い乗客のこと。転じて、小言の多い先輩や上司、口数が多すぎる後輩や同僚を指す場合も。→ユーユーユー

【トワイライトゾーン】《F》
 鉄道雑誌『RailMagazine』の連載。廃線跡や放置されている廃車体などの探訪などがその主な内容。転じて、旧軍の飛行場跡地に残る掩体とか、自衛隊基地内に今も残る旧軍時代、警察予備隊・保安隊時代の建造物や、隊員の創意工夫によって廃物利用されている古い飛行機の部品などを基地祭などの際に訪ね歩くこと。ゲートガードになっている機体なども含まれるし、本家トワイライトゾーンにならい、基地内に引き込まれている貨物列車の専用線も対象となる。当然ながら、鉄道ファンと航空ファンを掛け持ちしている人が主に使う言葉である。最近、こうした旧軍の遺構が世間の注目を集めるようになってきた。明治時代の赤煉瓦建築が自治体によって文化財に指定されるものも珍しくない。世間では無造作に叩き壊されている昭和初期の建築物も基地内では健在である。自衛隊は物持ちがいいのである。

【ドンガラ】《F》
(1)使用できる部品を『部品取り』として引っこ抜いた後に残ったスクラップ。中身のない『がらんどう』か、あるいは『胴体』と『鶏ガラ』の合成語が語源と思われる。
(2)内装やエンジン、アビオニクス機器などを除いた、航空機の胴体や翼などを指す俗称。

【ドンちゃく】[ドン着]《S》
 文字通り、ドンと叩きつけるような着陸。滑走路の長さに余裕がない場合とか、風向・風速が不安定な場合などはやんわりと着陸するより安全である。よってドン着だからと言って操縦がヘタクソということはない。要はケースバイケースである。ケースバイケースなので、いつもドン着ってのもこれまた如何なものか…。なお、マスコミがよく混同している言葉にハード・ランディングというのがあるが、これは脚などの損傷を伴うもので、ドン着どころか立派な事故である。何かというと大袈裟に横文字の航空用語を使いたがるワイドショー、スポーツ新聞、夕刊紙の記者諸君。わかったかな?

【とんでもない】
 飛ばすつもりで作った飛行機なのだが(当たり前だ!)どう見ても飛びそうもない、あるいはまともに飛べなかった飛行機を指す。ごくまれに、飛ばしてみたらエンジンがスカで全く飛べなかった飛行機や、飛ぶこたぁ飛ぶけれど貨物室ドアが上空で開いてしまい、圧力差で客室の床が抜ける某旅客機なども含まれる。最近は素材技術やらステルス性能の追及やら、フライバイワイヤの御陰やらで、とんでもないけどちゃんと飛ぶ飛行機が多くて、見た目だけじゃわからない…。

【トンボつり】[トンボ釣り]
 「…今日はどこまで行ったやら」ではなく、空母に着艦し損ねたり、着艦が不可能で着水した搭乗員を救出するために、空母のすぐ後に続行していた駆逐艦のこと。またはその任務のこと。現在の空母では救難ヘリが行っている。

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